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ヒーロー計画5
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金髪に近い明るめの茶髪の少年が、木織と共に歩く。そこまで明るい髪色はこの学校でもなかなか見ない。
期待に胸を膨らませていた大樹は、その姿に胸を撃ち抜かれたような高揚感を感じた。
授業が終わるや否や教室を飛び出し、木織の部屋へ急ぐ。何やら落ち込んでいる様子の木織に転入生の部屋番号を聞き出すと、彼が何かを言っているのも聞かず、ドアを閉めた。
胸の高鳴りを抑えつつ、足早に廊下を行く。通り過ぎざまに振り返る生徒たちなどには脇目も振らずに部屋までたどり着くと、ドアをこぶしで殴りつけた。ノックなどという軽いものではなく、まるで借金取りが借金返済を強要するときのような力を伴ったものだった。
それに恐れをなしたのか、ドアは一向に開かない。部屋にいないという選択肢は彼の中には存在していなかった。
もう一度、今度は力を抑えてノックする。それでも出てこないので、徐々に拳の振り上げる高さは増していく。リズムよくノックしてみたり、一定の速度でしてみたり、数分間による大樹のノックにようやく音を上げたのか、
「うるせえ……っ。案内なんていらねえって言ってんだろうがっ」
凶悪な面構えの少年がドアノブを引いて、叫ぶ。すぐに人違いだと気が付いた少年は、若干トーンを落として、
「……誰だ、てめぇ」
険のある声で大樹の長身を見上げた。少年も背は高いほうで、見上げ慣れていないのか思わず1歩後退る。
「俺は、水渓大樹だ。お前、先輩に向かってタメ語たぁ、いい度胸してんじゃねえか」
ついに見つけた。大樹が探し追い求めていた悪の化身。
抑えきれない興奮を口元で噛み殺し、歪んだ笑みを浮かべる大樹の姿に、転入生はゆっくりとドアを閉めようとする。それは、無意識に、彼を危険人物だと悟ったからなのか。
そんな、閉められかけていたドアの隙間に大樹は自身の足を差し入れる。
「おいおい、話はまだ終わってねえ。俺が自己紹介してやったんだから、てめえも名乗れや」
飛び込み悪質セールスマンも真っ青な様で足を捻じり込んできた大樹に、少年の手の力が緩んだ。
その隙を大樹が見逃すはずもなく、愕然と固まる少年を押して部屋へ入ると、押し入り強盗のごとく部屋を見渡し物色。
「……な、んなんだ。一体……」
財布からDVDレンタルの会員カードを抜き取った大樹がニヤリと口角を上げる。
「庭村匡……それがお前の名前か?」
突然現れ、高圧的な態度で圧倒していく大樹に、匡と呼ばれた少年は、今まで感じたことのない恐怖に襲われ、背中に嫌な汗が流れるのが分かった。
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