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ヒーロー計画11
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「それをお前が言うか?」
彫刻のような目鼻立ちの大樹が、不思議そうに小首をかしげた。
「あいつら、好みのイケメン見つけたら見境なく粉かける節操のない奴らなんだが、いかんせん、あの容姿だろ? 一つも苦情が届かねえから手ぇ拱いていたんだが、これであいつら一掃できる。風紀の乱れはこの俺が許さねえ……」
笑いを押し殺しながら呟かれる大樹の言葉に、
「おい、お前の話は一つたりとも理解できなかったが、理解するつもりはないからそれはもういい。それよりも、話してやったんだから俺の財布をさっさと返せ」
匡は何の感慨も受けずに手を差し出す。それを大樹はつまらなそうに見つめると、
「嫌だ」
短く言ってそっぽを向いた。ギロリと睨む匡の視線を受け流し、
「……それよか、飯食おうぜ」
「は? なんだいきなり」
急に話を逸らされた匡は面食らう。
「お前のせいで腹減った」
「そんなの勝手に食堂でも購買にでも行って食って来いよ。俺を巻き込むな」
「そんなもんはねえ」
「嘘つくな」
「嘘じゃねえって」
「お前、いい加減に、」
「あー、きょんきょんと水渓先輩やっと見つけた!」
匡の言葉を遮るようにして子猫の集団が現れる。匡はその声に肩をビクつかせると脇目も振らずに駆け出した。それを追う子猫集団。それを止めたのは、大樹の一言。
「お前らの相手は、この俺だ」
おもむろに立ち上がると、匡の後姿を隠すようにして彼らの前に立ちはだかる。何を勘違いしたのか、頬を染めて彼を見上げる子猫たち。
「さあ、お前ら。楽しい楽しい、ヒーローショーの始まりだ」
およそ正義の味方とは思えぬ残忍な笑みを浮かべる大樹に今更気づいても、時すでに遅し。
校舎中に響き渡るような、絹を裂く不快な悲鳴を轟かせるのだった。
放課後。
校内放送で校長室に呼ばれた匡を待ち構えていると、段ボールを抱えた二人組が現れる。小さなほうは匡に隠れて姿が見えないが、重要ではないので捨て置いた。
一人になったところで声をかけると、匡は無言で足を速める。楽々それに追いつくと、
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