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ヒーロー計画15
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そのまま引きずるようにして人気のない屋上前の階段までくると、足を止めた。
「よくも今の今まで逃げてくれたな。てめぇには色々と言わなくちゃならねぇことがある」
ひと際大きく鳴り響いた落雷に、匡はビクリと肩をすくめて大樹を見据える。
「もういい加減にしろよっ。お前は一体何がしたいんだ?」
憤る匡は、大樹の手を振り払うと、逃げることなく対峙した。1か月以上もつけ回し、住居侵入に窃盗。様々な悪事に手を染めて、彼の平穏な生活を奪った大樹の言い分を、さぞ大層なことがあるのだろうと待ち構えた。
「だから俺は、お前に悪役を頼みたいって言ってんだろうがっ」
大樹はさも当然だというように口を開く。言ってない。大樹は匡に対して嫌がらせをしていただけで、そのようなことは一つも言っていない。
「……は?」
怪訝な顔で大樹を見る匡に、
「言ってなかったか?」
自分の数日間の行動を思い起こす。
「言ってねえ……というか、悪役ってなんだ? 意味が分からねえ」
互いに疑問符を浮かべてにらみ合ったまま動かないでいると、パタパタと廊下を駆ける足音に我に返る。
「……とりあえず、説明するから俺の部屋へ来い」
ばつが悪そうにこぼすと、匡の手を引き寮へ向かう。唖然としたままの匡はあっさりと彼に続き、部屋のドアが閉められるまで口を開けたまま突っ立っていた。
「……って、俺はこんなところでお茶なんて飲んでる場合じゃねえんだよ」
「うるせぇな。俺が説明してやるって言ってんだから黙って座っとけよ」
匡の部屋よりもかなり大きく、キッチンや別の部屋へのドアもある。完全にマンションの一室のような造りに、匡は居心地悪そうに腰を下ろした。
「なんで俺がこんなところに……」
「だから、お前。前の学校人ぶん殴って退学だろ? てっきり不良かなんかだと思ってたんだよ。見た目もそんなだし、初対面の俺に蹴り入れるってどんな凶悪な奴なんだって」
「……初対面で蹴り入れられるようなことするお前に言われたくない」
カップに口をつけながら半眼で見据える匡の視線に、大樹は軽く肩をすくめるだけの動作で話を先に進める。
「俺、風紀委員やってんだけど、」
「あの案内人とだろ? 趣味悪っ」
匡はケッとやさぐれたように悪態をつく。
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