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ヒーロー計画17
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ただ彼の心に切迫を感じさせ、大樹の言葉通りに操ることができればいいだけなのだ。
大樹にとって、人とは傀儡か道に転がる石ころでしかない。彼はゆっくりと立ち上がると、開け放たれたドアを抜け、彼が去った廊下を我が物顔で踏みしめるのだった。
ざわつく食堂に足を踏み入れると、騒ぎの中心に匡がいた。一人の小さな少年を囲むようにして木織と長身の少年が並ぶ。
「おう、てめえら何してんだ?」
そこに分け入ると、とぼけながら匡を見やる。
油の足りないロボットのようにぎこちなく振り向き、嫌悪と少しの恐怖の入り混じった視線を大樹に突き刺す匡からわざと逸らすと、
「おや、レッドじゃないかい? こんなところに来るなんて珍しいこともあるものだね」
暢気に笑みを向けてくる木織に、しらじらしく応える。
「おう、俺はちょっと、こいつが見えたもんでな」
匡がビクつきながらも睨み返してくるその強気な態度に、歪めた口角をさらに上げた。
そして、匡は、眉一つ動かさず余裕の態度を崩さない大樹から隠すように、自らの背後に小さな少年を移動させると、
「弟に何かしたらマジで許さねえからな」
匡は憎しみの籠った声で言い放ち、数秒逡巡したように眉を顰め、やがて目を固く瞑る。それから大きく息を吐くと、少年の肩に手を乗せて、立ち上がる。
そんな匡に、見ていた周りの生徒たちは自然と道を開けていく。凶悪な顔面に恐れをなしたのか、異様な雰囲気に飲まれたか。
匡の姿が見えなくなったところで、残された大樹は、多数の視線を浴びながらも、嬉しそうに目を細め、独り言をぽつりとこぼす。
「匡、つれねぇなあ。誘ってんのか?」
はっきりと聞こえたその低音に、周りの生徒が顔を赤く染めた。
彼の行動を承諾と受け取った大樹は、匡が消えた食堂の入り口をしばらく眺め、それからまた彼を追って出ていく。去り際、周囲からうっとりとしたため息が漏れていたが、彼の耳には届いていなかった。
ようやく彼をものにした。その興奮で大樹の頭の中はいっぱいだった。
「今回だけだからな……」
大樹の部屋の前で腕を組んで待っていた匡が開口一番、そう言って、苛立ちまぎれに大樹を睨む。
「まあ、そう焦んなって。衣装は用意してあるから試着してみるか?」
「いらねえよっ。変態野郎が……これが終わったら俺らに二度と関わるな」
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