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ヒーロー計画24
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「うん。レッドのことそんな言い方する人って、たぶん匡君だけだよ。僕はそんな怖いとは思わないけど。でも、先生に怒られなくてよかったね。あの紙何が書いてあったの?」
そんな二人を机に肘をついて見ているのは風紀委員の一人であるピンクこと蓮香柚規。柔和な笑みを浮かべながら、大樹のこめかみに血管が浮かぶさまを思い浮かべる。初めは大樹に言われて彼の情報を集めるために近づいていたのだが、思いのほか匡の人柄を気に入り友人に。
「別に……そんなことより、ミケ。お前いい加減離れろ。暑苦しい」
「やんっ。そんな冷たいこと言わないでよ。僕、こんなに冷遇されたことないから新鮮なんだよね。ゆずゆずもそう思うでしょ?」
急に振られた蓮香は困ったように匡を見る。代わりに匡が口を開く。
「お前も変態野郎って呼ぶぞ」
「もー、野郎はやめてよ。可愛くない」
「そっち?」
実のない会話をしていると、クラスメイトが彼らに近づいてきて、
「なあ、匡。次の時間当たるんだけど、これ教えてくんねえ」
「あ、俺も。匡の教え方って分かりやすいんだよ」
「えーまじで。じゃあ俺も!」
「ちょっと。僕ときょんきょんの邪魔しないでよー」
匡の机の周りには一瞬にして人だかりができる。見た目は怖いが、世話焼きで人当たりの良い匡のこと。笑うと人懐っこい顔になるそのギャップも相まって、クラス限定ではあるが人気者になりつつあった。
匡のことでクラスメイトと猫屋敷が取っ組み合いの喧嘩に発展しそうになっていた頃、大樹は教室で一人、遠い目をして物思いに耽っていた。周囲の視線などもとより存在していないものとして窓の外を見る。その横顔の完璧さに、誰も何も言うことなくただ見惚れる。彼のしぐさ一つ一つが芸術のように彼らの心を強く打ち続けていた。
その至福の時を奪ったのは、
「あの……そろそろ授業始まるよ?」
始業を知らせるチャイムと、廊下から掛けられた教師の遠慮がちな声だった。次の授業が移動教室だということを、彼らは失念していたようだった。
大樹はヒーローショーを思い返す。観客の反応は上々で、他の委員たちも満足そうだった。大樹自身も、幕が下りた瞬間は高揚感に心を震わせたほどだったが、時間が経つとともにそれは急激に冷めていくのを感じた。
あれだけ計画を詰め、匡を半ば脅し手に入れた悪役怪人との対決の時。
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