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ヒーロー計画26
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「…………」
一向に話が進まない。立ち往生な状態に匡は黙る。そんな彼の無言の圧力に屈したのか、大樹が座椅子に浅く座り直し、代案だとでもいうように大きく頷く。
「仕方ねえ、そんなに嫌なら賭けしようぜ」
「なんで俺が聞き分けないみたいな感じになってんだよ……」
「実際そうだろうが。この俺が直々に夏休みの計画を立ててやってんのに何が嫌なのか、皆目見当もつかないし、意味が分からない」
「お前、本気で……いや、本気なんだろうな。お前マジでどんな人生歩んだらそこまで自信家になれるんだよ。ある意味感心する」
「ふん、褒めたってなにも出ないが」
「お前の耳の構造は一体どうなってんだろうな?」
呆れかえって失笑する匡だったが、大樹はきょとんとした顔で首をひねる。
「よく分からないが、そんなことはどうでもいい。賭けだ、賭け。負けたほうが勝った方の決めた場所で夏休みを過ごすと」
「それ、俺にとってはどっちも負けじゃねえか」
しかし、不毛な言い争いに終止符を打ちたかった匡は渋々ながら賭けに乗ることとなった。もちろん彼の言う後半の内容は却下して。賭けの内容はもうすぐ始まる期末テストの順位。単純に一つでも上位だった方の言うことを聞けというものだった。
「いいのか、こんな賭けに乗っても?」
自分から提案しておいて、いけしゃあしゃあとそんなことを言う大樹の自信気な視線を跳ね返すように、匡はテーブルを叩いて立ち上がると、
「じゃ、俺は勉強しないといけないから、今すぐ出ていけ」
ごちゃごちゃと何やらごねる大樹を自分の部屋から追い出し、ようやく静かになった部屋の中で天井を見上げた。
追い出された大樹は、匡の前で見せたものとは打って変わって表情を消すと、大股で廊下を過ぎる。
声をかけるのすら憚られる鉄壁のオーラを噴き出しながら部屋に戻ると、電話を掛ける。目的の人物は数コールで出た。そこで初めて表情を緩和させると、
「俺だ。例の件、準備を始めておいてくれ」
短くそう言い、通話を終了させた。ズボンの脇ポケットに携帯をしまいつつ、窓の縁に手をかける。
数日後、
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