アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ヒーロー計画33
-
しかし、食事は二人分。入口から近いところに向かい合って置かれていた。
「城かっ」
誰ともなしに呟くと、匡は席に着く。半熟の目玉焼きに、カリカリに焼いたベーコン。透き通ったシンプルなコンソメスープと焼きたてのバターロール。
「適当に作ったから味は保証しないが、まあ、お前が作るのよりはマシだろ」
「お前が作ったのか? お手伝いさんとか料理人とかいるのかと思った」
「いつもならそうだが、今ここにいるのは俺らだけだ。わざわざ連れてくるのも面倒だし、お前、変に気使うだろ」
大樹は、今日の正面に座りながらそれだけ言うと、スプーンを取って優雅にスープを口に運んだ。
「……ふーん」
匡も彼に倣い一口。小さく、美味いなと言った。
「それにしても驚いた。今月で1番驚いたかもしれない」
「は? 何がだ」
「お前に彼女がいたってことだよ」
「まだその話引っ張るのか……」
バターロールを齧りながら、大樹が嫌な顔の匡に遠慮なく聞く。好奇心は押しとどめない主義だ。
スープにスプーンを入れてクルクルさせていたが、匡は興味津々で彼を見ていた大樹に押されるようにしてその手を止める。
「そんな大層なことじゃないからな。……高1の時に告られて、ちょろっと付き合っただけだよ。なんでかすぐ振られたけど」
「最後のはお前らしいな。なんでかって、さっきのあれだろ? 私と家族、どっちが大事なのって」
「……なんで分かるんだ。なぜか別れ際みんなに言われた」
「みんなって、一人じゃないのか?」
「あー、3人? どれも短期間過ぎて顔すらうろ覚えだけどな」
「高1の時だけでってことか? お前って、意外と……アレだな」
「なんだよ、アレって」
「いや、びっくりした。さっきの驚きは撤回する」
匡の言葉を手で制して、大樹は匡をマジマジと見る。鋭い目つきも、切れ長で涼し気だと言ってしまえば聞こえはいいし、目鼻立ちがはっきりとしていて端正な顔立ちともいえる。
キリリとした精悍な容貌と高身長は一つの武器になる。加えて、大樹に対してはそんな片鱗すら見せないが、人当たりもいいと聞く。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 59