アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ヒーロー計画40
-
「本当だね。こんなに暑いならもっと薄着持ってくればよかったかも」
「結婚式終わったらちょっとは時間あるだろうし一緒に買いに行こうぜ」
「うん、今度こそ、そうしよう。そうだ、匡にぃも一緒に行かない?」
「ああ、それはいいが。……もう無理だ。一回部屋に戻る」
「え、じゃあ僕も帽子取りに行くよ」
匡と季と千里の会話。当然、大樹は匡の後に続く。
「匡、日焼け止め塗らないと大変なことになるわよ。季もそんなところにいないで陰に入りなさい」
「分かった―。でもちょっと帽子取りに行ってくるからー」
モデルの仕事で海外に行く機会も多い涼はパラソルの下でサングラスをかけ、幅の広い帽子をかぶり優雅にグラスを揺らす。手を上げて季の言葉に答えると、微笑ましそうに彼らの背中を見つめた。それを苦々しく見ていると、彼女が大樹のほうを向く。視線が合った。気が付かないふりをして、匡を追った。
「昨日は眠れたのか?」
廊下を歩きながら匡に耳打ちをする。それを払いのけながら、匡は、
「ああ、なんでか眠れた。まあ、お前のせいで疲れっきってたってのもあるが……」
悪たれる。大樹はそれをさらりと受け流し、
「それは、お褒めにあずかり光栄の至り」
わざと恭しく左手を腹に当て、右手を後ろに回して頭を下げる。
「褒めてねえ」
「まあ、眠れたならよかったじゃねえか」
匡の頭に手を乗せグリグリと撫でると、彼は怪訝そうな顔を向ける。
「なんか、変なもんでも食ったのか?」
気味悪そうにそう言って、大樹から離れて季たちに混ざる。
撫でていた手を手持無沙汰に見つめながら、大樹は目頭を押さえた。寝不足のせいか自分の行動がイマイチ分からない。わざと彼を困らせるようなことをしてみたり、今みたいに素直に彼の体調を気にしてみたり。元気な彼の姿を見ていると嬉しくはなるが、それが他人から与えられてものだと苛立ったり。
「マジで、俺……変なもん食ったか?」
「何してんだ? お前、気分悪いのか?」
廊下の真ん中で立っていると、用事を終えた匡達が戻ってきており、大樹を心配そうにのぞき込んでいた。
「なんでもねえよ。たぶん時差ボケだ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
40 / 59