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ヒーロー計画41
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匡の胸を押し、彼の顔を見ないように背けると先に立って歩き出した。
涼たちのところへ戻ると、絡まれていた。分かりやすいチンピラの二人が、赤ら顔で涼にナンパを仕掛けている様子。隣の少年が食って掛かってはいるが、相手にしていないようだった。その姿を少し離れたところで立ち止まって見ていると、遅れてやってきた匡達も気づく。
「なっ、お前。こんなとこで暢気に傍観してんじゃねえよ。それこそ正義の味方気取ってんなら尚更だろうがっ」
匡の言葉に少し考えた大樹は、走り出しそうな匡の手首を掴み、
「それもそうだな。でもまあ、落ち着け」
ニヤリと口角を上げる。酷薄な表情をチンピラたちに向ける彼に、匡は何も言えない。ゆったりとした足取りで涼たちに近づき彼らの背後に回る。
「よお、お前ら、何してんだ? もしかして俺の目の前で拉致とか恐喝とか暴力とか振るう訳ないよなあ。そんな楽しいことしてくれる頭のゆるい奴なんでそうそういないもんなあ。でもいいぜ、暇してたとこなんだ。あんたらがやろうってんなら俺が相手になるぞ」
「あ? 何だ。涼ねぇと季の友達になんか用でもあんのか?」
凶悪な笑顔を向けた大樹と、凶悪な面構えの匡が輩を見下す。
「あの、役不足の意味を知っていますか? “自分の力量に比べて、役目が不相応に軽いこと”ということですよ。まあ、あなた方は力不足と言ったところですが。とりあえず他に用がないのならお引き取り願えませんか? 彼ら、気は長いほうではないですし」
最後に彼らのオーラに埋もれていた季が、冷気を醸し出しながら彼らを見据えて言い放つ。
凶悪な二人が出てきた時点ですでに及び腰になっていた二人組だったが、最後の一押し、帽子を目深にかぶり、真意の見えない瓶底眼鏡の小男の冷徹な物言いに恐れをなしたのか、小さく悲鳴を上げると転がるようにして逃げて行く。
逃げていくチンピラたちを横目に、恐怖した様子もなく空になったグラスを傾ける涼を見ていると、
「おい、大丈夫だったか?」
匡が慌てた様子で駆け寄る。
「ええ、彼が守ってくれてたから問題なかったわ。ありがとう、九重君」
「ありがとう、ヤス!」
「さすが、季の友達だな。頼りになる」
どう考えても助けたのは大樹たちなのに、彼女は九重という小さな少年のほうを褒め、匡や季も彼を褒め称えている。
「…あ、えーと……まあ」
九重が引きつったように笑いながらもまんざらでもない様子。
「おい、助けたのは俺らだろうが」
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