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ヒーロー計画43
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焦れた匡が口を開いて勢いよく飴が彼の喉に直撃。
「おいおい、そんながっつくなよ。飴はまだあるからよ」
「ば、馬鹿か、お前……。お前が無理やり口ん中に入れるから」
むせて涙目になった匡が大樹をキッと睨みつける。悪びれもしない大樹は、首をすくめただけで、
「帰ったら何するよ? やっぱり、お前の手料理食ってみたいし、作れ」
「だから、禁止令が、」
「俺は別に頼んでないぞ。命令してるんだ」
「お前なんか大嫌いだ」
「フッ。褒め言葉と受っとっておこう」
本格的に拗ねて、行きの時同様シートに丸まる匡に大樹はそう言って、演技掛かった動作で彼を見やる。
大樹をちらりと見ただけで何も言わない匡は、舌打ちをしたのち本格的なふて寝に入ってしまった。もう、どれだけ声をかけても返事を返してくれることはなかった。
***
ケーキが食べたいと言い出したのは大樹で、スポンジは管理人の奥さんに焼いてもらった。生クリームを泡立てて塗り、イチゴをトッピングするだけの簡単ケーキ作りに、匡は深く考えることなく首を縦に振る。それくらいなら自分にもできるだろう。
「それにして、お前。似合わねえな」
大樹が匡の姿に笑いを漏らす。
別荘の管理人に料理道具一式を頼むと、なぜか用意されていたエプロン。嫌がる匡に無理やり着せると、大樹も当然自分から着用した。
「うるせえ。お前も、似合ってないこともないが……うぜぇ」
自分よりも高身長のくせになぜかヒラヒラエプロンを着こなしている大樹を、悔しそうに睨む匡。
「まあ、俺は何を着ても様になるからな」
大樹のそんな言葉に表情を無にさせて、手動で生クリームを泡立てたところで気が付いた。
「砂糖入れてない」
「あっ……」
生クリームのパックの表示を見ながら大樹が小さく声を上げた。白い塊がボールの中でつややかに存在感を示しているが、舐めてみても何の味もしない。
「今から入れたらやばいかな?」
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