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ヒーロー計画49
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怒りで興奮した木織を除いて。
「は? 俺らにその知らせが来たときもう別荘に来てたし、お前がこいつの弟とそこまで仲いいとか知るわけねえだろうが」
「むぅ……そうはっきりと正論を言われると言い返す言葉もない」
「んなことはどうでもいいから、さっさとこれ、片付けるの手伝ってくれよ」
「みんな僕を置いていくなんてひどいよ。……あれ? パーティーって聞き間違い?」
遅れるようにしてやってきた季が、微妙な表情を浮かべる一行に気が付きテーブルを見る。そして、どう見ても失敗作としか呼べない料理の数々に眉を顰めることとなった。
ホームパーティーとは名ばかりの残念な料理会の席に着いた一同に暗い空気が立ち込める。
「匡の奴に話聞いたときは話盛ってんだろくらいに思ってたんだが、ビックリだな。まあ、捨てるのも勿体ないし、お前らどうせ暇してただろうから好きなだけ食ってけよ」
先程から大人しい匡の原因を目の前にし、季は、
「やっぱり料理音痴は一朝一夕で治るものではないね」
自分のことを棚に上げ言う。匡はがっくりと肩を落とすのだった。
「もう、けち臭いこと言ってないで捨てなさいよ。どう見ても食べ物じゃないわよこれ」
「うっせーな、黙って食べねえなら出て行け。生徒会消失させるぞてめえ」
「なっ、あなた最近の言動は目に余るわよ。生徒会執行部はすべての委員会の長であるべき機関なのよ。もっと敬いなさいよっ」
「あー? てめえらみたいなお飾り集団、未だに存続させてやってるだけありがたく思えよ」
生徒会長である国仲と風紀委員長の大樹は犬猿の仲。圧力をかけて生徒会を無力化させた大樹と、中学の時から生徒会に属していた国仲は、寄ると触ると醜い言い争いを繰り返していたのだった。
「まあまあ、ここは学園外なのだから無用な争いはやめたまえ」
「もー、静。あなた、風紀委員だからってそっちの肩を持つ気なのっ」
「いや、だから俺はどちらが正しいとかそういう訳ではなく、」
「じゃあ、どういうつもりで言ってんだ? てめえ、内容によっちゃあ反逆罪で追い出すぞ」
そして、それをなだめようとして結局一番の被害をこうむるのは学園の良心と名高い双方の友人でもある木織。
「ああ、でも敵対する関係って、ロミオとジュリエットみたいで逆に燃える、みたいな……」
そんな不毛な言い争いをする年長者を、生ぬるい視線で受け流しながら千里は比較的焦げていないであろう料理に手を付けた。
「……うちの3年、濃いな。つーか、これは……何とも言い難い個性的な味だ」
焦げていないところは生焼けで、焦げているところはほぼ炭化している。
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