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入学式
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「暖かい風が頬を撫で、桜が満開の良き日に、ここ、緩分優劣男子高校に入学できましたことを誇らしく思います。勉強、部活動に励み文武両道に学校生活を送ることができるよう全力を...」
新入生代表の挨拶の声、挨拶を聞いているだけの僕に向けられる嫌な視線。小さな頃から色んな人に向けられるこの嫌な視線は、何度向けられても慣れない。
この嫌な視線を向けている人たちはきっと知らない。ステージに立って、あたかも自分が首席合格者のように話しているあの人ではなく、さっきから嫌な視線を向けられている僕が本当の首席合格者だということを。
僕は、入試で、全テスト満点を取った。その後行われた特待生試験でも満点だった。それはすぐに噂になっていたからあの人はそういう人だと思われている、きっと。
そんなことを考えている内に入学式は終わった。
この学校は先輩のつくったくじ引きでクラスが決まる。2年生の先輩が一人ひとつクラスを書いて、それが優劣に分けられ、優は優、劣は劣で箱に入れてその中から1枚引いて書いてあったクラスになる。1.2.3年とよっぽどのことがない限りクラス替えはない。高校3年間の運命を決める大切なくじ引きだ。
僕の番になり、ドキドキしながら、くじを引く。くじには、Aの文字。くじを引いたあと、教室に行く。席が自由に選べるので、一番目につかない一番後ろの窓側を選んだ。すでに教室は少し騒がしい。そのお陰か、目立つことなく教室に入り、席を決めることができた。
誰かに話しかける勇気の無い僕は、席に座ると、カバンから入学式が始まる前にもらったチーム表を取り出す。開いて机の上に置き、チーム名とチームのマークの横のチーム紹介を読んでいると、教室の前の方からこんな声が聞こえてきた。
「ねー、君さー、5位の人でしょー?」
さっき、挨拶をしていた人の周りに3人顔がそっくりの人たちが集まってそんなことを言っている。
「俺達さー、同じ点数でー、2位だったんだけどー、挨拶の話がきてー、断ったんだよねー!話がきた時にー、何でですか?って聞いたらー、1位の人が断ったからって言ってたからさー、5位なのかなーって!違うー?正解ー?」
と、言われて、挨拶をしていた人は
「そうですけど」
と、文句ありげに応えていた。それを聞き、
「やっぱねー!」
と、言ってくるりと僕の方を見た。
そして・・・
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