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君の部屋
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部屋、と言うより、物置だった。
布団らしきものが見当たらない。椅子に掛かった薄手の毛布…じゃない。ぼろぼろになったタオルケットとも呼べないようなものが1枚。
机を占領しているのが、積み上がった同じ表紙のスケッチブック。何冊あるんだろ…中身は何を描いているんだろう。
「ねぇ、君」
声をかけて、途中で辞めた。1つの写真立てを薄い胸に抱いていた。
「見ていい?」
見せて貰ったのは、夫婦らしき男女と黒髪の無邪気な笑顔の子供が1人。お揃いの帽子を被って、嬉しそうに笑っている。
この子供は、この子だ。こんな顔で笑うんだ……
[これもいいですか?]
「アルバムがあるんなら全部持っておいで。それくらいのスペースはあるから」
[ばらばらにするのに?]
ん?君と親戚を引き離すからかな?あれ?何か噛み合ってない??
「ま、持って行きたい物は全部持っておいで?もう戻って来れないんだから」
せっせっ、と効果音が着きそうな動きで、スケッチブックとアルバムらしきものと写真立て、トートバッグを持って、[終わりました]とだけ書いてくれた。
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