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これからの生活
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兄貴は料理がうまい。俺が適当に入れた材料で劇的なものを作ってくれる。
「彗、ごはんだよ」
「!」
「ほら、そっち運ぶから無理に動くな。治療した後なんだぞ」
「氷雨って言う俺達の幼馴染が専属医なんだけど、診て貰ったんだ」
包帯が動きにくいのか、複雑そうな顔をして見上げてくる。可愛かったから膝に乗せて抱きしめてみた。子供体温っていいね。
「彗、ほら」
「あーんして?彗」
口元に貼られた絆創膏のせいか、口がそこまで開かないらしい。少しだけ開いた口に少量ずつ運んでいく。
十数回ほど口に運んだところで、彗の口が動かなくなった。
「もう満腹か?」
頷いたが、罪悪感か、顔を上げようとしない。黒い髪とつむじしか見えない。絡まった細い髪だけど、ちゃんと手入れしたらツヤツヤになりそう。
「怒ってないから。少しずつ食べれるようになろうな」
「ほら、食後の薬があるから顔あげようね」
鎮痛剤と栄養剤らしい。分けて飲ませるけど、うまく飲めないのか苦戦して眉間に皺を寄せている。
やがて、こくっと飲み込む音が聞こえたので、聞いてみると首を縦に振った。
「明日、もう一度氷雨が診に来る。そのときに顔も覚えさせないとな」
「ちょっと怖いけど、悪い人じゃないからね~」
「?」
メモ帳を渡してやると、ちまちまと文字を綴る。
「[どんな人?]って…んー神経質な眼鏡野郎かな」
「悪い印象しかねぇなそれ」
「だってー怪我しても優しくないし」
「お前は怪我しすぎだ馬鹿野郎」
不安そうに見上げてくる彗に、慌てて言い繕う。
「ゲームとスイーツの好きな人だよ」
「ゲーマーだな。重度の」
ここに閉じ込め…一緒に住むんだし、部屋から出せないからゲームくらい買ってあげようかな。格闘ゲームとか好きかな?テレビゲームの方が良いかな?
「彗はゲーム好き?」
首を傾げると言うことは、無縁の生活を送ってたって事かな。まぁ、スケッチブックと水彩絵の具の方が喜ぶかも。
「明日、スケッチブック買ってきてあげよっか。他にほしいものある?」
躊躇うように目を逸らしたけど、またちまちまと文字を綴って見せた。
「[色えんぴつ]…ついでに透明水彩買ってこよっか?使ったことある?」
「無いんじゃないか?スケッチと言うか、デッサンばかりやってたようだし」
「あーじゃあ先に色鉛筆だね。いっぱい色のあるのにしよっか」
嬉しいのか、頬を染めて頷いてくれた。あ、笑窪できてる。可愛い。
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