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強靭な精神力(別名を無神経ともいう。)
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まだ、頭がぼんやりとしている。
湯を張ったバスタブで膝を抱えると耳の脇に膝が来る。膝と膝の間に頭を挟んで、いっそこのまま湯に顔面を付けて死んでしまいたい。
「先生、のぼせますよ」
ガラス戸の向こうから先刻とは違う黒いジャージ姿の影が声をかけてくる。
「ほっとけ」
ぶっきらぼうに答えると影は素直に消えた。
大体、強引な情事のあとに全然平気な面で凌辱した相手の部屋に居座れるってどうなんだ。
強姦魔が相手の部屋に居座るようなものじゃないのか。
実際そうじゃないのか。本番まではされなかったから強姦とはいえないのか。性的虐待か。暴行か。快楽落ちしたら強姦とは認めてもらえないのか。それは横暴だ。
だってあんな玩具で責められたらその気はなくたって男ならいくらでも快楽落ちするだろ。
ちょっとチンコ擦られただけだって自分の意志とは反して勃起しちゃうのが男だぞ。
朝が来ただけで勃起しちゃうのが男だぞ。それをあの責め苦を耐えろとかそれこそ不能じゃない限り無理だろ。
「っ、あ――――……」
そんな言い訳みたいなことを考えても事実は覆らない。
不本意とはいえ朔良は櫻井と不適切な関係を持ち、アラレモナイ姿でイキまくって精液まみれで、アヘアヘでびっくんびっくんしちゃったのは間違い用のない事実。
じゃあ、だからと言って。
「どうしようもない」
これがばれたら、お互いに一巻の終わりだ。
朔良は淫行教師として良くて解雇、悪ければ逮捕。櫻井は良くも悪くもこの学校にはいられなくなるだろう。
このことはお互いなかったことにしてきれいさっぱり忘れ去って、三年後桜の木の満開の下で永遠にサヨウナラするまでは良き師と生徒であるよりほかない。
一つ大きく伸びをして、朔良はバスタブから勢いづいて立ち上がる。
「んづ……っ」
まだ異物感の残る尻に膝を着きかけて、バスタブのふちを握った。
———無茶苦茶しやがって。
腰の甘怠さに、男同士の情事の後っていうのはあまり余韻に浸れるのもではないんだなと、勝手に結論付け、もう一度立ち上がった。
ガラス戸の向こうにまた黒い影が映っている。
よもやこちらが全裸なのをいいことにまた何かしようとしているのではないかと訝しんで朔良は警戒姿勢をとる。
ドアノブに手を掛け、そろりと開くと、黒いジャージ姿の人影は洗濯機に向かい何か作業しているようだった。
「おい」
「あぁ、タオル用意しときましたから」
脱衣籠の中にあったはずの精液まみれのパンツとジャージとその他もろもろは忽然と消え去り、代わりに白いタオルと新しい下着が置かれている。
「洗剤なかったんで、俺の部屋から持ってきました」
「お、おう」
だからジーンズからジャージに着替えているのか。
そんな腑抜けたことを考えたながら、一度とってしまった警戒姿勢をいつ解除したらいいものかと朔良は硬い表情のまま櫻井の所作を見ていた。
「もうエロいことはしません」
それをたやすく察して櫻井は人懐こい優等生の笑顔で笑う。
一番下の弟が同じような顔で笑う。そう感じたら必然毒気を抜かれてしまって、肩の力が抜けた。
「今日は」
一瞬見せた隙を突くように、櫻井は今度、にたと笑った。
———このくそガキが。
その笑みに眉根を顰め。朔良は口角を引きつらせる。
「均整の取れた体も、好きです」
櫻井は口に拳をあてがい唐突に宣う。
突然何をとさらに眉根を顰めると、上から下、下から上へと舐めるように櫻井の目が動いた。
「めちゃくちゃにしたくなる」
「このエロガキが」
「ドエロ教員が何を言っていらっしゃるんですか」
一言ったら二十で返ってくるガキほどむかつくものはない。
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