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パーフェクト・ルーキー2
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呆けている朔良の尻を冴島の手が撫でる。それにも気が付かないで朔良は窓の外の、啓太を見た。
確かに、野球部のグラウンドに走っていくのは昨日見た背中に間違いない。
しかし、朝礼台に荷物を置き、悠然と着替えている男もまた啓太と同じ顔をしている。
「サッカー部の翔太が生徒会長、野球部の啓太が副会長、もう一人、会計にバスケ部の優太がいるんです」
「あぁ、そうなんですか」
平静を装って言いながら、頭の中で三つ子が連結する。
二人がこれだけ似ているなら、まだ見ぬ優太もきっとそっくりに違いない。
こどもっぽさの残る男の子3人部屋で3段ベッドの柱に手をついて、「きょおは、俺が入れる約束だっただろ」「だって入れたくなっちゃったんだもん」「や、俺、も、イク……」なんて啓太を真ん中にズチョズチョ。前も後もドロドロになっちゃって小松崎のこと思いながら優太の中に射精しちゃう啓太。その締りに、耐え切れず翔太が啓太の中に……。
「朔良先生」
「は、あっ」
背後に回った冴島にきゅっとシャツの上から乳首をにじられた。
昨日の感覚が思い出されて股間がずくんと痺れた。
「な、」
「また、卑猥な顔してますよ」
思考がもろに顔に出ていたのかと思うと顔面が火を噴いた。
「朔良先生、ときどき、凄い色香を出してるからな」
斜め上、後ろから小さく囁かれる。
窓の桟に手を突くと、覆いかぶさるようにして冴島の体が包み込んでくる。
「んっ」
下方に這った右手がスラックス越しに立ち上がった性器の先端をピンポイントで抓んだ。
「や、」
やめてください、と言おうとした瞬間、窓の外からの射抜くような視線と目があった。
それは劫火のごとき激しさで朔良を見た。一瞬で体の熱が一気に引き、ついでに血の気もひいた。
「おや?」
しゅるしゅるしゅるー……と常態どころか哀れなくらいにまで縮み上がった性器に冴島が小首を傾げた。そして、朔良の視線の先を確認したうえで
「あぁ、櫻井か」
のんびりした口調で言う。
「あいつはからかい甲斐ありそうでいいなぁ」
ふふと笑って朔良から手を離し、灰皿に乗せたままだった煙草を食む。
冴島が余裕そうに櫻井に手を振ると、眼下の猛獣はネコ科の動物よろしく髪を逆立てた。
「あれでパーフェクトルーキーなんて言われてるんだから面白いね」
ふすーんと、緊張感なく鼻から煙を出して相変わらず冴島は櫻井をおちょくっている。
「通り名ですか、それ」
「んー。あいつ、中学の全国模試上位3位から外れたことないらしいんですよ」
———へぇ。
嫌な奴だなと、正直思う。
頭のいい奴って大体それを鼻にかけてて、鼻持ちならない奴が多い。
「中学陸上の関東代表なんですよ」
———ふぅん。それはさぞや凡人を鼻白んでいらっしゃるのでしょうなぁ。
「それでいて中学で生徒会長。不登校傾向の生徒にも良く接してて、素行不良の生徒にも分け隔てもなく他者と接することができると」
———何それむかつく。
「学級で級長やらせてるんだけど、まー、なんでもそつなくこなすわ、気は効くわ、ガキどもからの信頼も厚いわで」
ここまで来るとホント、
「気味が悪い」
朔良の思考を読んだように冴島が吐き出す。少し驚いて、冴島を仰ぎ見た。
「そんな、先生が傷つけられたような顔しないでよ」
冴島の指摘に自分の頬を擦る。傷ついた顔などした覚えがなかった。
「と、まぁ、そんな風に思っていたんですが」
「ぅあ?」
頬を撫でていた手を掴まれ、壁に押し付けられる。硬く目を閉じた瞬間、唇に触れたものがあった。それは押し付けられただけですぐに離れる。
「あんな姿見せられたら、やっぱ可愛いガキなんだって、思っちゃいますよね」
そろそろと目を開いた先、矢の如き速さで校舎に向かってくる残像を見た。
「何秒で来ると思う?」
悠長に冴島が煙草の煙を吐き出した瞬間、職員室の扉がけたたましく開き、誰かほかの先生が驚き交じりに櫻井の名を怒鳴った。
「冴島ぁ」
「おかしいなぁ、昨日までは冴島先生って呼んでくれてたはずなんだけどなぁ、櫻井ー」
櫻井は乱暴に喫煙所の扉を開くと鬼神の如き形相で冴島を睨む。余裕の笑顔で笑う冴島に、櫻井はぐっと歯噛みして、朔良に視線を移した。
「華村先生、今日放課後空けといてください」
この怒りの矛先がどうして自分に向くのか全く解せない。
解せないながらも小さく数回首肯していた。
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