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掌の温度3
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頷くことも否定することもできず、そうか、やっぱりこれは欲情だったのかと、確認する。
生徒に欲情する教師か。
―――社会的にも人道的にもだめだな。
欲情は、何かしらの恋慕を伴うものだと思う。
なら、自分は櫻井に恋慕してるのか。
答えはよく判らない。
ただ絆されただけのような気もする。
「俺の方が経験値は高いし、朔良のこと、気持ち良くしてやれると思うんだけど」
冗談めかして笑い、その笑みが、煙草の煙のように霧散する。
朔良を包む腕の強さが強くなる。
「……それで、伊織さんにメリットはあるんですか」
胸に顔を付けたまま問う。
一定のリズムで冴島の鼓動が耳を打つ。
「朔良の体を好きにできる、」
言いかけて、冴島は息を吐き、少し朔良から身を引いて、眼鏡越しのその目をじっと見つめてきた。
「嘘だな。」
今にも泣きだしそうな、可笑しくて堪らないような顔で冴島が笑う。
「逃した恋の穴埋めになってほしい」
それは、不器用な道化師のようなアンバランスな笑顔だった。
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