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そっと、優しくベッドの上に座らせられた
他人の体温なんて慣れていなくて、他人に抱き上げられるなんてことはただの1度も経験してこなかったから戸惑いっぱなしだった
「大丈夫?」
なんて声をかけられるのも、心配そうにこちらを見つめる目も、優しく頬を撫でられるのも初めてで。
なぜだか分からないけど鼻の奥がツンとした
「え?!どこか痛いの?」
じわじわと視界が揺れてくるのがわかって、自分が涙を浮かべているのがわかった
まだ涙を流してはいないけれど声を発したら涙が流れ落ちてしまいそうで彼の問いかけに首を横に振ることしか出来なかった
「そっか、なら安心した。ところで具合悪くない?」
「?」
「いや、昨日…ね?やりすぎちゃったかな〜って思って」
「……ぁ」
忘れていたわけではなかったがやっぱり昨日のことは本当だったんだ
あの人たちがいなくなったってわかっても悲しくはならない。喜びが心の底から湧き上がってくるのが嫌でもわかってしまって、そんな自分に少しだけ嫌気が差した
ぐるぐると考えていると突然頬を指で刺された
「え、」
「百面相してるの可愛いんだけど、体調大丈夫そう?」
「…ん」
「そっか。ならいいや」
「…あの、」
「ん?」
「あの、人たちは…?」
「あの人たち?…あぁ、昨夜リビングにいた男と女?」
「うん…」
「いらないからポイしちゃった」
「ポイ…?えと、ここにはもう、いない…?」
「うん。いないよ」
それを聞いて本当に安心した
やっと安心できた
安心したらそれまで張り詰めていた糸が切れたようでさっきまで引っ込んでいた涙が溢れてきた
その人は突然泣き出した俺に少し驚いたようだったが何も言わずに抱きしめてくれた
突然の体温に今度は俺が驚いたがその体温が、背中に回る腕が、酷く心地よくて無意識のうちに自分でも彼の首に腕を巻き付けていた
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