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「あーここはこの方式使うのか!ありがとうございます。永堀先生!」
「いや、それはいいけど。上野、急にどうしたんだ。変なモノでも食ったのかい?」
「教師である貴方までそれ言います? 酷すぎでしょ……」
「そりゃ、いきなり学年最下位だった君が一位になる! なんて言い出したら周りはびっくりするぞ」
授業が終わった後、教師を捕まえて分からない所を徹底的に聞く。この間補習の紙を突きつけられていた生徒が、いきなり意欲的になると教師も驚きを隠せないようだ。間宮と同じように訝しんで俺を見ている。
「何があったのか知らんが、ほどほどにな」
「ほどほどじゃ駄目なんです!」
ぐわぁ!と迫る俺に鬼気迫るものを感じたのだろう、眼鏡をズリ落として仰け反っている永堀。顔を極限まで近付けると、微かに永堀から煙草とコーヒーの匂いがした。
「そりゃ普段から勉強してる生徒に比べるとさ、一夜漬けならぬ七夜漬けで一位取るて言うのって烏滸がましいでしょうよ。でも! それでもやらねばならないんですよ! 分かりますか!」
「分かった、分かったから。上野、近い」
俺の顔を押し退けようとする永堀の顔が若干赤い。ふと、永堀って既婚者だっけ? と思って左手の薬指を見ると何も付けられていなかった。顔良いのに意外だな。一見、神経質そうだからか?
後方から「エマ、教師にまで手出しちゃヤバイんじゃなーい?」と間宮の揶揄う声が飛んできた。あ、ここ一応教室か。ってそんなんじゃねぇよ!
「とりあえず、目的の為なら死ぬ気で頑張る、それが上野です。覚えておいて下さいね!」
「……はぁ。ところで、君、そこの方程式も間違ってるよ」
「嘘! あぁ? 分からん……」
俺が一位を取れるまでの道のりまだまだ遠い。今日も徹夜コース一直線だ。
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