アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-9-
-
会長、俺はこう見えても純情なのです。下半身ゆるゆる頭ゆるゆるな間宮と違い、貞操観念だってしっかりしているんです。
同じ部類だろ、みたいな表情はやめてください。決して間宮と同類ではありませんので。それにどちらかと言うと……会長の方が、間宮と通ずるところがあるのでは?
だってあんな風に、いやらしく、男を誘うなんて。
俺、馬鹿だけど分かっちゃった。
気位の高い王様のような会長。でも、あの時、男のモノを咥えていた会長の瞳はまるで──。
ねぇ、会長。貴方、初めてじゃないでしょ?
──ピピピピピ! ピピピピ!…
「んぁ?」
けたたましい目覚まし時計のアラーム音に目が覚める。何度か瞼の開け閉じを繰り返すと、のそりと起き上がり未だ鳴り響く煩い音を黙らせた。ふぁ、と欠伸を一つ。頭を掻いてベッドから降りた。
「あ、おはよう」
「………」
下に降りるとリビングで麗実が朝食を食べている所だった。朝の挨拶をしたのにも関わらず、こちらを一瞥するだけで返事が返ってこない。麗実の返事が無いのはいつものことだ。悲しいがそれが思春期というものだから仕方ない。
キッチンに向かい、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し飲む。
「ねぇ、昨日の車なに?」
「んぶふっ……!」
飲み掛けていた水を吐き出しそうになって噎せ込んだ。げほげほ、と咳をする俺に麗実はうーわと眉を潜めたが、質問を取り下げる気は無いらしくじっと見ている。
「み、見てたのか」
「なに、見られちゃまずかったりするの?」
「いや、そんなことはないけども」
家に帰った時、麗実は既に自分の部屋に戻っていたので帰って来たことにさえ気付いていないものだと思っていた。それに普段から麗実はこちらに関心がないし。
まぁ、でも普通、あんな高級車が家の前に停まっていたら吃驚するよな。
「学校の先輩。補習を手伝ってもらってて、遅くなったからって送ってくれたんだよ。ほら、俺の学校金持ちばかりだろ。車も先輩のお抱えの運転手が運転してくれたんだよ」
「ふぅん」
流石に車で何があったかまでは言えない。それだけだよ、と言うと麗実は「そ」と短く言葉を切ると、食べかけのパンに噛り付いた。大して興味が無いのだろうと伺える。麗実が食べている食パン美味しそうだな、と思ったが朝は食べる気分じゃなく代わりに水を含んだ。
『えー、ニュースです』
つけられていたテレビにぼんやりと視線を向ける。いつもの朝の情報番組。きっちりスーツを来たキャスターが神妙な顔をしている。いつもはこのお兄さんハイテンションなのに。
『今朝午前五時頃、鳳凰グループの創始者鳳 清二が持病の発作で倒れたとの情報が……』
ん? 鳳凰グループ? 鳳 清二……
「はああああああ!?!?」
「くそウザ、死んでマジで」
「ちょ、まっ……だって、鳳凰グループって」
『鳳凰グループというと今や日本を代表とする企業の一つですからね。幅広い領域で展開しており、海外にも進出中の……』
とにかく、鳳凰グループは日本屈指の企業の一つらしい。キャスターが詳しく説明してたけど半分くらい理解出来なかった。
その鳳凰グループの創始者である鳳 清二が今回持病の発作で倒れたことについてキャスター達が何か言っているが耳に入ってこない。
飲み掛けのボトルを床に落とした。ごとん。
「いや……はっ、はは、名字が同じなだけやでぇ……」
「何で関西弁なの?」
「行ってきます!!!!」
コンマ一秒で着替えると、急いで学校に向かう。
色々な情報が頭の中でパンクしそうだ。そんな、そんな偶然ってあるはずがない。
誰でもいい、誰か今俺の考えていることを全力で否定してくれ!!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 92