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5月10日(日) 真相
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───ひどく体がだるい。
首と、手首がじんじん痛む。
「───……」
まぶたを持ち上げ、蛍光灯の眩しさに目を細めた。
重たい腕を動かし、額に当てて光を遮る。
「あ、起きた」
真横から声がしてゆっくりと首を動かすと、僕のベッドに腕と頭を乗せてじっとこちらを見ている雪町がいた。
「……」
さっきと比べて、随分と顔色が良くなったようだ。
「…僕、なんで寝てるんだっけ」
「失神したからだな」
雪町はしれっと答える。
「…しっ、しん………」
どうりで体がだるいわけだ。
「ごめん、少し飲みすぎた」
「……ほんとにな」
「驚かないんだな」
…何を今更。
「おまえが吸血鬼なんじゃないかって、思ってたとこだったから」
「へぇ…」
にわかには信じがたい事象だが、ここまでされたら信じるしかない。
吸血鬼は実在して、今目の前にいる。
「…中川の血を吸ったのも、おまえなのか」
「違う」
雪町はすっと立ち上がり、僕のベッドに腰掛けた。
僕も、なんとか上半身を起こす。
「俺は高原先輩の血以外…吸ったことない」
「怜…?」
「でも、もう……」
じわりと雪町の瞳に涙があふれた。
「なっ」
───なんで泣くんだ!?
そういえば、桜の樹の下でも泣いていた。
「怜に何かされたのか…?」
「……」
雪町は答えようとしない。
「…まぁいいけど」
他にも聞きたいことはたくさんある。
「おまえの他にも、吸血鬼がいるのか?」
「当たり前だろ」
───…当たり前なのか。
「じゃあ、そいつの仕業…」
「だろうな」
「誰がやったか知ってるのか?」
「いや、人間と吸血鬼の見分けはつくが、犯人までは分からない」
淡々と答えて、雪町は立ち上がった。
「思ったより体調が良さそうで安心した」
そっけない声で言って、彼は部屋を出て行く。
「…はぁ」
僕はベッドに横になった。
うまく焦点の合わない目で天井を仰ぎ、頭を押さえる。
…頭いたいし、視界は変だし。
初めて味わった、吸血鬼に噛み付かれる感覚。
飢えた獣のように、僕の血を吸い上げる雪町の姿が頭から離れない。
痛みと、雪町の舌が肌を伝うくすぐったさ。
「……」
そして、気になることがひとつ。
───怜は、一体なんなんだ。
吸血鬼じゃないかと疑われていて、かと思えば吸血鬼に血を提供していた。
少なくとも怜は吸血鬼について色々知っているはず。
…聞かないと、怜に。
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