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5月11日(月) 勝てないなら*
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「───……」
「………」
柊が部屋から出て行くと、部屋は再び静寂に包まれた。
俺は机に向かい、学校生活アンケートの集計結果に目を通す。
ぽつりぽつりと、吸血鬼について書かれていた。
「……」
ふと、目の前のソファーに座る時雨 由隆(しぐれ よしたか)を見る。
俺の視線に気づいて顔を上げた彼は、睨むように俺を見た。
「睨むなよ、時雨」
「さっき来た…おまえの弟はあんな説明で納得したのか」
訝しげな時雨に、俺は鼻先で笑ってみせる。
「頭を混乱させてから結論を言うと、それが合っていようが間違っていようがその言葉に従う。柊は昔からああなんだよ」
つまり重度の馬鹿だということ。
「おまえ、性格悪いな」
「そんなことより、時雨」
俺はおもむろに立ち上がり、ドアの方へ歩き出した。
「おまえもそろそろ、輸血パックじゃ足りなくなるだろ」
ドアの鍵を閉めて、振り返る。
純血種まではいかないが、時雨も人間の血が少なくそれに近い。
「飲めよ」
時雨が座るソファーに片膝をついて、両肩に手を置きながら見下ろした。
俺を見上げる時雨の目つきが変わる。
「なんでおまえはそう…自分から血を与えようとする」
呆れたような低い声、だけど目はギラついていた。
「好きだから、時雨のことが」
「嘘だな」
「ひどいな。本気だよ」
顔を寄せて、唇を重ねる。
時雨が拒むことはないが、すぐに口を離された。
彼の舌が首筋を伝う。
「…っ」
ぷつり、と皮膚が破ける感覚。
二つの牙が、うなじに刺さった。
途端に流れ出る鮮血を、時雨が残さず舐めとり、傷口を吸う。
「はぁっ…」
しばらく穏やかな痛みを享受していたら、時雨の唇が離れた。
「もう、満足か?」
「……」
黙ったままの時雨と目が合う。
熱を帯びる頬が少し恥ずかしくて、俺は言葉を詰まらせた。
「…血を」
低い声で言いながら、時雨の手が俺の服を脱がせ始める。
「吸われて、発情するのか」
「んっ…」
言い返す間もなく、唇を塞がれた。
深くて、長いキス。
「…はっ」
息継ぎをするだけの暇を時折与えられるが、言葉を紡ぐ余裕はない。
優しそうで乱暴な舌が口腔をかき乱す。
「っ、時雨…」
唇が離れたと思うと、ソファーに押し倒された。
いつの間にかブレザーを脱がされ、シャツのボタンも全て外されていた。
降り注ぐ視線が、獣のようでぞくぞくする。
「…怜」
名前を呼ぶ唇が、露わになった肌を舐めた。
「っ…」
───絶対に敵わない、圧倒的な力の差。
乳首を吸われ、びくりと体が跳ねる。
「そこ、いいから…時雨」
時雨の手を探してつかみ、自分の下半身にあてがった。
「下も、触れよ」
余裕を見せる俺を一瞥して、時雨はベルトを外す。
下着ごとズボンを引きずり降ろされ、硬くなりかけている自身が露わになった。
「……」
額に汗をにじませた時雨が、薄っすらと口角を持ち上げる。
…時雨も、興奮してる。
安堵しながら、俺は時雨のベルトに手を伸ばした。
同時に、時雨の手が俺のものを扱く。
「っ……」
空いた方の手で、時雨は俺の口の中を翻弄した。
「ぁ…ふっ」
時雨の人差し指と中指が、歯を撫で、舌を絡ませながら引き抜かれる。
名残惜しそうに、自分の唾液が糸を引いた。
「…力、抜いてろ」
その一言で、時雨が何をしようとしているかが分かる。
「あっ…、く…っ」
ひくつく後ろに、濡れた指が入ってきた。
何度も時雨を受け入れてきたそこは、二本の指を容易く飲み込む。
「んん、っは…ぁ」
俺は外しかけた時雨のベルトから手を離し、ソファーに体を預けた。
俺の気持ちいいところを、時雨は全部知っている。
感じる場所を執拗に触られて、もう限界だった。
「時雨っ…もう」
手を伸ばして、時雨の服をつかむ。
「時雨の、入れろ」
待ちきれない、と俺は懇願した。
「……」
時雨は無言で薄く笑い、俺に口付けてくる。
「んっ、…ふ」
深いキスに答えるように、俺は夢中で舌を絡めた。
───勝てないなら、喰われたい。
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