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『ニコとルドルフ』④ By.Kuro
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今日はクリスマスイブ。
今夜が一番大事な日だ。
出発準備に向けてサンタ村は慌ただしい。
ニコラスの家でも長距離型のソリにプレゼントを乗せる作業を終わらせた後、サンタの衣装に着替えた。ルドルフの服も準備する。ニコラスはルドルフの角を磨いていつもより一回り大きいベル付きの首輪をつけてあげた。
「ルドルフ、今夜はよろしくね。25日の夜明けまでにプレゼントを配り終えたら僕はおじい様の帽子がもらえるんだ」
憧れのサンタ帽は一人前の証。
「俺は今のままのニコがいい。あの帽子も嫌だ、ニコの顔が隠れるから」
小柄なニコラスの服は子ども用で、『短い丈が脱がしやすいのに』とルドルフは真顔で言う。
「何言ってるんだよ…」
不満げなルドルフに不安になるニコラス。
「ニコが悲しむのは嫌だから我慢するけれど、本当はこのプレゼントもニコも全部独り占めしたい」
「えっ!」
「ニコを見ず知らずの人間の家に侵入させるなんて、心配だ」
「何だよそれ…」
「どうしても配りたいなら俺が行くからニコはソリで待っていればいい」
「それはおかしいだろ!プレゼントはサンタが配るものなんだよ」
「トナカイだってパートナーだろ」
「な、なんで……もう!ルドルフのわからず屋!…キライ」
ニコラスが涙目でそう言うとルドルフは苦しそうに顔を歪めた。
そっとニコラスの手に触れようとして振り払われ、ルドルフは強引にニコラスを抱きしめた。
「他の誰にどう思われてもいいけれど、ニコに『キライ』と言われたらどうしていいかわからないくらい苦しくなる」
「だって…ルドルフ、僕のしてほしくないことばっかりするんだもん…」
「それはニコが好きだから」
「僕もルドルフが好きだよ。だから一緒に…」
「本当はトナカイも嫌だ。ソリなんてひきたくない…」
「え…」
「ニコは最近俺以外の人間のことばっかり考えてる。俺はそんな寛容じゃない。俺以外のやつのことを想ってほしくないし寝室にも行かせたくない。襲われたらどうするんだ」
「サ、サンタを襲う人なんていないよ!それにプレゼントを配るのが僕たちの仕事で…」
「ニコは人間とプレゼントのことばかりだ。この1か月キスすらしてくれない」
「ルドルフ……」
ニコラスはルドルフが拗ねているのだとようやく気付いた。
「角の手入れもしてくれなかったじゃないか…さみしい」
『仕事と俺とどっちが大事なんだよ』と言い出すルドルフを見て、思わず噴き出してしまった。
っていうか。
こんなにいつも一緒に過ごしているのに。
寂しいだなんてルドルフはどれだけ甘えたいのだろう。
そっと背中に手を回し、ルドルフの頭を撫でる。
「クリスマスが終わったら長い休暇があるからいっぱい角の手入れしてあげる。それまではこれで我慢してくれる?」
ニコラスがそっとキスをするとルドルフの腕の力が強くなった。
渋々頷くルドルフは『休暇中は俺のことだけ考えて』と約束するまで離してくれなかった。
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