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『無表情サンタの贈り物』③ by.四つ花
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大きな真っ白な袋。
まさにサンタの袋、といった感じのそれの中には、沢山の日本中の子供たち、いや、サンタからのプレゼントを願う人たちへのプレゼントが入っている。
例えばお人形。例えばミニカー。例えば最新型のゲーム。他にも友達がほしい、ペットがほしいなどの形のないものまで、様々。
この袋には、日本中の人々の様々な“願い”が籠められているんだ。
僕は瞳を伏せ、いつになく慎重に袋を締めた。
────────いつもはない、大切なプレゼントがこれには入ってる。
僕の気持ちも籠められたもの。
ぐっと唇を噛み締めた。
『雪、着いたぞ』
さぁ、今から僕はサンタさん。
大きな大きな袋を持って、幸せを届けよう。
「その呼び方は止めてってば」
何者でもない、ただの幸せ配達人。
そう、この夜、この時だけ───僕、三田 雪優(みた せつゆう)という人物はこの世から消えるんだ。
『……お前は本当に無情で…そして誰よりも、優しい人間だな』
一軒目の自宅に入る直前、背中に掛けられたその言葉。
その言葉がさっきの返しだと思い当たったのは、プレゼントを半分ほど渡し終えた後だった。
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