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『無表情サンタの贈り物』④ by.四つ花
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『これで最後か』
だいぶ疲れた様子のアラが、そう呟く。
それになんと返したのか。いや、返してもいないかもしれない。ぼんやりとすっかり萎んでしまった袋を見ながら、僕は高鳴る鼓動を抑えようと深呼吸をした。
冷たい空気が鼻を通り、ゆっくりと心臓が落ち着いてくる。
『着いたぞ、ゆ…サンタ』
雪と言いかけて、サンタと言い直したアラに微笑みを向ける。固まった表情を無理に解してそうすると、アラは固まってしまった。
その姿に微笑を零し、袋は持たずにプレゼントだけを持って最後の良い子の部屋に侵入。
一歩踏み出したところで、振り返りアラに向けて聞こえるよう少し大きめな声で言い放った。
「アラ、君は間違っているよ。
僕は無情なんじゃなくて、無情なフリをしているだけなんだってさ」
正義のヒーローに言われたんだ。
驚くアラを一瞥してから、僕は今度こそ本当に部屋の中に入った。
正義のヒーロー。ぶってる、本当は弱い彼。
本当は誰よりも弱くて、それなのに誰よりも頑張っている、僕のヒーロー。
そんな君に、プレゼントを…幸せを届ける日が来るだなんて、思ってもみなかったよ。
シンプルでちょっと汚い部屋の隅、ベッドの中ですやすやと気持ち良さそうに眠りにつくヒーローは、綺麗で可愛い寝顔だった。
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