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『サンタと天使が笑った夜』①by.高瀬結衣
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クリスマスの一週間前。
行付けのスタンディングバーで俺は付き合って3ヶ月の恋人に別れを告げられた。
理由?
『やっぱ俺、女の体の方が好きだわ』
まるでテレビのチャンネルをリモコンでぱっと切り替えるようにそれはアッサリとしたものだった。
『ごめんな?』
次の日。
同じ学部の可愛い女と寄り添って歩いている元恋人の姿を見つけた。
まあ、そういうこと。
いきさつなんて別にどうでもいい。
俺じゃ駄目だったってだけの話だ。
別に自分が不幸だとは思わない。むしろラッキーだった。ノンケの男に惚れてダメもとで告白して思いがけず3ヶ月も付き合って貰えた。沢山デートもしてくれたし、セックスだっていつも優しかったし、そう、彼は『いい人』だった。
世界が違った。それだけ。
それに恋愛なんていつか終わるものだし、そのたびに傷ついてはいられない。
ただちょっと残念なのは、気に入っていたあの店にはもう当分いけない、という事だ。
恋人が去ってひとりになった俺は不覚にもカウンターで号泣、優しいマスターに延々慰められ、それを思い出したらもう恥ずかしくて恥ずかしくてこの恥ずかしさが消えるまではとてもじゃないけれど店に顔を出すなんて無理。思い出しても信じられない、恥ずかしすぎてしぬ。あれはそうだ、酒のせいだ、それしかない。
ともあれ世間はクリスマスシーズンで大賑わい、バイト先も例に漏れず繁忙期。空けていた24日もシフトに入ると申し出れば店長には拝まれるし、特別手当もつけてくれるというし、貧乏学生の俺にとっちゃむしろ嬉しい事態じゃないか。
クリスマスなんて外国行事に皆が浮かれて散財している間に、俺はガッツリ稼いでその先の冬を満喫してやる。
がそんな気合いも24日当日、バイト先の駅前コンビニへ出勤して直ぐに萎えた。
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