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『メルティ・キス』①by.蜂乃
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先輩×後輩のリーマンもの
後輩ちゃん視点
今日は、クリスマスだ。
仕事帰りに自然と目に入ってくるのは、光輝くイルミネーション。寒い中、それを見物する大勢のカップルたち。寒いね、綺麗だね、とくっつきあってラブラブモード全開である。
このリア充め、と俺は軽く舌打ちをして、肘をついた。そして、向かい合って座っている先輩を睨みつける。すると、先輩は照れたように笑った。俺が見つめてきてると思っているんだろう。とんだ馬鹿だ。
はあ、と溜息が出る。
「なんでこうクリスマスに野郎と過ごさないといけないんですか、先輩。しかも、居酒屋で」
そう。俺は聖なるクリスマスの日に、男と居酒屋にいた。
個室で掘りごたつがあり、なんとも鍋が食べたくなるような和風の店だ。そんな中でテーブルの上にあるのは、ビールジョッキと、おつまみ程度な食べ物だった。何せ、奢ると断言した先輩の手持ちが悪いというのが、今の状況を作っている。自分も出すと言っているのに、聞いてくれず、ほんとに困った先輩である。
「居酒屋の件はすまなかった。マジで今月やべーの。てか、その最初のやつ! お前、酷くない!? 一応、恋人だろ……」
恋人……なんだ、それ。そもそも、俺と先輩は男同士じゃないか。
一応、言っておく。確かに、先輩からは告白されたが、俺は好きと言ったことは断じてない。先輩がその辺を這い回る犬みたいにしつこかったら、ただ付き合っているだけなのである。
なんだかんだキスや、一線越えちゃっているのは……そう、ただ流されているだけ。
だというのに──。
最近はそう考える度に、胸がチクチクするように痛くなる。先輩のせいだ、畜生。
苛立った俺は、プイとそっぽを向いた。
「俺は、先輩を恋人だと思ったことありません。一切!」
「うわ、出たよ。このツンデレめ~! よーし、わしゃわしゃ~」
「だああ、もうウザイ! です!」
ぐしゃぐしゃ、と頭を掻き回してくる先輩の手を叩き落す。それでも、先輩はニコニコとしていて、何も言えなくなった俺は乱れた髪を何度も整えた。
なんで、そんなニコニコしていられるのだろう?
ずっと疑問に思っていた。
「ま、とりあえずさあ、乾杯いきましょーや」
「なんでそこで乾杯なんですか。もっと空気読んでください」
俺自身、口も、性格も悪いということは自覚している。だからこそ、俺に近づいてくる人は少ない。
はっきり言って、先輩だけなのだ。こんなに近寄ってきた人は。
ウザくないのか? 俺のどこを好きになった?
謎は、深まるばかりである。
「お前、絶対俺のこと先輩だと思ってないだろ」
「ちゃんと思ってます。馬鹿な先輩だって」
「一言余計だ、ばーか」
「ばっ……!? 先輩には言われたくないです!」
俺は、ついカッとなり、勢い良く身を乗り出した。しかし、その行為がどこかおかしかったのか、クツクツと先輩は笑い、煙草に火を灯す。
馬鹿、煙たくなるだろ。スーツに臭いつくじゃないか。
というか。
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