アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
好きな人。【薫side】
-
バレンタインデー…
女の子が好きな人にチョコを渡す日。
皆は普通に人前で渡したりしているけど、僕は男だし、何より渡す相手も男だから誰かに見られないように夜、誰もいない廊下で先生が来るのを待った。
「先生、まだかな…。」
クラスの女子が小野寺先生は甘いものが苦手だと話していたのを聞いて、煎餅にしてみたがやっぱり変だっただろうか。
可愛らしく包装された包みを持って、初めて先生と会った時の事を思い出す。
きっと先生は憶えていないだろう。
昔、数人の不良に絡まれていた所を助けてもらった事を。
とてもカッコ良くて、お礼をしたかったけど先生はすぐにどこかに行ってしまった。
その後も、この高校に入るまで先生を見かける事はなかった。
去年は渡すタイミングがなかったが、今年こそは渡したい。
「 もう帰れよー。他の先生に見つかったら怒られるぞー 」
いつものように気怠げな声が聞こえ顔を上げると、待っていた人物が前を通った。
慌てて腕を掴み引き止める。
断られるかな…。きっと驚く…。
「あの…これ、貰ってくれませんか…?」
何度か渋られたが、最終的に受け取ってくれた。
受け取ってくれた事が嬉しくて、勢いよい頭を下げ少しだけ赤くなってしまった顔を見られないように急いで家へと帰った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 14