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理由。2【薫side】
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「あのー、マキノカオルさんって人いますかー?」
休み時間、クラスの友達と雑談していたら教室に知らない子が訪ねてきた。
ネクタイの色からして一年生のようだ。
「僕だけど…」
「あ、いきなりすんません。小野寺先生が放課後に資料整理手伝ってくれって言ってました。」
「小野寺先生が…?
うん、わかった。ありがとう」
「じゃ、俺は伝言伝えに来ただけなんで。」
それだけ言うと、彼は名前も言わずに去っていった。
資料整理なんて言ってるけど、きっと本当の理由は違う。
多分、昨日の夜の事を聞きたいのだろう。
気は乗らないが、行かない訳にもいかない。
少し前なら呼び出された事に喜んで、放課後が待ち遠しいと思っていたかもしれない。
でも、今は…
億劫、だなぁ……。
「牧野、どした?」
「ん。なーんでもないよ?」
不思議そうな顔をする友人に笑顔で返す。
いけない。変に思われてしまう。
せっかく小野寺先生が気を使って資料整理なんて理由にしてくれてるんだから。
ちゃんと笑えてるかな…
不自然な笑顔になっていそうで、少し不安になる。
憂鬱な気分のまま、放課後を待った。
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