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白い部屋
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夢を見た。
春樹が死んじゃう夢。
春樹は病院で、静かに目を閉じていた。
だけどその時の春樹は年をとっているように見えた。
真っ白な髪の毛。
口元の皺。
どう見ても高校生じゃないことは分かる。
でも、それは確かに春樹の顔だった。
おじいちゃんの春樹?
傍には、おばあさんと、四十くらいの男性。
なんとなく春樹に似ている。
その人の隣には、男性よりも少し若いくらいの女性と、5歳くらいの男の子。
…春樹の家族なのかな。
春樹、結婚してたんだ。きっといいお父さんだったんだろうな。奥さんも、きっと優しいんだろうな。
…いいなあ。春樹と結婚出来て。家族になれて。子供ができて。
あゝ。春樹はちゃんと生きていたんだ。
生きて、結婚しておじいちゃんになって死んだんだ。
…そっか。そっかぁ。
良かった。
だけど、春樹がいなくなるの、寂しいなぁ。
ねぇ。俺もすぐ後を追ってもいい?
…まあ、俺と春樹は同じ年だから、きっと俺ももうすぐ死んじゃうだろうけど。
春樹が死んだら、きっと何も楽しくなんてない。春樹がいない世界なんて、きっと意味がない。
俺は、今何をして生きているのかな。
今でも春樹が好きなのかな。
…好き?俺が春樹を?
そっか。そっかぁ。俺、春樹が好きなんだ。
救急車が止まる振動で目が覚める。病院についたみたいだ。さっきの夢のおかげか、落ち着いていた。
春樹。春樹。お願い。戻ってきて。俺に、笑顔を見せて。俺を、抱きしめて。
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