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入り混じる感情【番外編ハヤside】
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手紙を読み終えた後、オレはしばらく呆然として、動けなかった。
いや、動きたくなかったんだ。
動いたら、レイのいない世界が、本当に始まってしまう。
気づいた時には、オレは静かに、涙を流していた。
「……………なんで…」
まだ、現実を受け入れきれなかった。
でも、何度考えたって、辿り着く答えは、「もうレイは、何処にもいない」という事だけだった。
自分から流れる涙を拭うこともせず、また、自分の部屋だけ止まった時間を過ごした。
その日、オレは学校に行かなかった。
行けるわけがなかった。
母親も、朝ごはんも食べに来ない俺を心配して部屋まで見に来たが、涙を流しながら呆然とする俺を見て、多分そっとしておいた方がいいと悟ったんだろう。
何も言わずに出ていった。
お昼頃になって、オレはやっと動こうと思えた。
もう1度、レイの手紙を読みたかったんだ。
「………」
2度目の手紙を読み終えて、オレの中には、よくわからない感情が渦巻いていた。
悲しいのに、悲しくてたまらないのに、レイの言ってくれた言葉が嬉しくて、喜ぶことも悲しむこともできなかった。
感情が入り混じってグチャグチャになりすぎて、気持ち悪い。
「でも……」
頭の中にいるレイは、確かに楽しそうな顔で笑っている。
何も、苦しそうじゃないんだ。
「レイにとっては、…これが、1番…良かったんだよな、…」
きっと。
きっと、こんな姿は、レイも望んでない。
「レイ、…オレ、頑張ってみるよ。…お前の分まで、」
そう、小さく呟いた。
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