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社会人にあるまじき
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「お疲れ様~」
7時30分。
最終のメールチェックや発注作業を終え、晴れて自由の身を手に入れた俺。
終業時間にタイムカードを切ったのは久々だ。やれば出来るじゃないか俺。
今日は酒でも空けて、録画した映画を見て、気分よく寝るかな。最近はまってるのは海外のアクション映画で、目玉ひんむいて見てる。ま、一人なんだけど。
定時に上がろうが、あの量の仕事をこれまでにないほどテキパキと取り組んだのだから、誰にも文句は言わせないぞ。
そうして、
俺は軽い足取りで家へ帰った。
のだが… … …
ーーーーーーーーーーーーーーー
家に着いて、ごろごろしてからシャワーを浴び、さぁ仕事後の一杯でも…
と、冷蔵庫の取っ手に手をかけた時。
事は起因したのだ。
俺は冷蔵庫を開けながら、ピリリリリと携帯の着信音が鳴るのを聞いた。それが出勤用の鞄から聞こえてくるのだとわかると、途端にげんなりした。
この時点で、会社の者だということを何となく察知したのだ。
…まぁ、それが桐嶋さんでなかったことだけは救われたが。
「もしもし、明海さん?
…どうかしたの?」
『あー…桜庭君、今飲んでる?』
今まさに飲まんとしていたところですが。
電話越しの明美さんは、困ったように笑っている。これがまた嫌な予感しかしない。
「いや? …何かあった?」
『多分なんだけどさ…
君、デスクにお財布忘れてるよ…?』
嘘だと言って。
次の瞬間、俺はピシリと石のように固まった。でもって落としそうになった携帯を持ち替えると、出来るだけ元気のありそうな声で、
「……わ、わかった、今から取りに行くよ。
わざわざありがとう、今度お礼するね」
爽やかイケメンを貫いたのだった。
何で退社する前に言ってくれないんだとか、絶対他の社員気づいてただろとかいう八つ当たりを飲み込んで。
まぁこればかりは俺が悪いよな。
他人に任せられるわけないし。
不注意だった。
不注意にも程がある、
相手が桐嶋さんだったら何を言われたか。
『あ。それとね、桜庭君…
私丁度今上がるんだけど、後残ってるの桐嶋さんだけだから……ふぁいと!』
彼女の明るい声と共に、
通話は切られてしまった。
しんと静まり返った部屋の中で、対する俺は盛大に舌打ちする。
時計に目をやると、もう9時半を回っていた。
明美さんは良く俺と残業してたりするけど…
桐嶋さんがこの時間まで残ってるって、
結構珍しくないか?
どっちにしても最悪だ。まったく今日に限って…何の嫌がらせだよ。
こうして、俺の、
夢にまで見た定時上がりにビールは、
後軽く2時間ほどのお預けとなってしまったのであった。
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