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爽やかな俺の爽やかな朝
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『お前ふざけんな何だあの態度。
調子乗るのもいい加減にしろ
大体やる事がしょうもないんだよ、あんなんで俺を脅されるとでも… …』
真面目に読むと軽く20分くらいはかかりそうなので以下略省。
朝携帯を確認すると、夜中に凄まじい長文メールが送られて来ていたのだ。
もちろん桐嶋から。
あんな遅くまで取り込んだ後に、ご苦労なことだ。
つーか、
くっそ長いんだよ一言でまとめろ一言で。
要するに口止めしたいんだろう。全然出来てないけど。
俺が悪かったから許してください、と素直に言えたなら、考えてやってもいいと思う。まぁそんな事ありえないけど。
「不器用ですねーこの先輩は…」
誤字脱字の多いメールを丁寧に読むに、やつの動揺の色がはっきりと見える。
大人が自分を守るのに必死になってる姿って、惨めだよな。ホント。
あなたの部下として恥ずかしいです、桐嶋先輩。こんなどうしようもない先輩は、俺が再教育してやった方が良さそうです。
逆教育係として。
俺は文面を眺め、一人コーヒーを口にしながら、によによ笑っていた。
「どうしてやろーかな…」
とりあえず、挨拶は普通にしよう。
向こうはそれだけでも、何企んでるのかと警戒してくるだろうけど。
昼休憩はわざと誘ってやろうかな。
それともやつの行きつけの店に寄って、ばったり会った振りでもしてやろうか。
考えるだけで心躍るが、
そんな極悪非道な一方で、俺はまた桐嶋に対して、ごく普通の感情も持っていた。
もしかしてあの先輩にここまでつけこんだのは俺だけなんじゃないか。
そしてこれは、あの人のプライベートな面を知るチャンスなのではないか、と。
…だって、超気になる。
あの仕事人間の私生活が気になる。
飯は何を好むのか、どんな家で生活してるのか、休日はどうやって過ごすのか。
結婚はまだったよな。やっぱ彼女くらいは居るのか?
昨夜で、
一人で処理が出来ることはわかった。←
でもまさかあの歳で童貞だったりして。
だったら爆笑なのにな。
「俺、あいつの事全っ然知らないんだな…」
入社してはや半年が経った。
まぁ当然、
特に仲が良いわけでもないし、(つーか常に険悪)上司と部下という関係上、深く関わることもなかったが、
何より俺に興味が無かった。
あいつのことなんて気にしたこともなかったのだ。それに、出来れば気にかけたくもなかった。
それが今はどうだ。
昨日の昼まではただの怖くて近寄り難い上司だった桐嶋が、いじくり甲斐のある遊び道具に早変わりだ。
奴のことをもっと知りたいと思った。
それはただ個々のデータとして、知っておくと便利なこととして、そんな細かい情報も頭に入れておきたかった、というだけ。
まったくのそれだけだった。
他意はなかった。
「そろそろ行くかー…」
だが。
その軽はずみな気持ちは確かに、
今後の俺へ、多大な影響をもたらすことになるのであった。
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