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嫌よ嫌よも…やっぱ嫌い。
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~桐嶋side~
俺の社での位置付けは、
決まった肩書こそないものの、
皆に頼られ、尊ばれ、仕事はそこそこに出来る方だと思っている。
だからって上に良いように使われる事もあるが、それも出世への道の一歩だと受け取っている。
また、そうやって仕事にどっぷり浸かりっぱなしの日々の中では、
俺が人を寄せ付けないような、極めて厳格な性分だということも、重々理解している。
…筈なんだが。
たった一人の男が、
俺のそんな在り方を掻き乱さんとしているのだ。
「桜庭樹…あいつ絶対許さん」
この社内の空気どうにかしてくれ
…気持ち悪い。
目が合う度にこにこしてくる社員に落ち着かない。普段のようにもっと緊張感持って接される方が、よっぽどましだ。
そのくせ、俺がちょっと怒りながら「顔引き締めろ」って言えば慌てて去っていくのだから。
まったく不愉快極まりない。
これじゃ気が散って集中できない。
なるべく視線を社員のデスクから別の方へ向けようと心がけていると、
少し離れた場所で、桜庭と上司が話しているのが見えた。
『桜庭、最近頑張ってるよな!』
「ぁはは、そうですか~?」
得意の爽やかさを装って、笑顔で接している桜庭。
普通の目で見れば、いかにも可愛がられそうな、人懐っこい部下って具合に映る。
……誰の前でもヘラヘラしやがって。
上司の手前なんて、本当は最低限の社交辞令くらいにしか思ってないくせに。
あの人に桜庭の本性を見せてやりたいくらいだわ。
『あの桐嶋に褒められたんだろ~?
すごいじゃん』
…またそれかよ。
俺は一体どんなスパルタ社員だと思われてんだか。(スパルタです)
聞くな聞くなと自分を制して、PCに向き直る。
人にどう思われているのか、何を話されているかなんざ、考え出したらきりがない。
「はは…
でも俺、あの人ちょっと苦手ですし…
向こうからも、嫌われちゃってますから」
カーソルを動かす手が、ピタリと止まった。
もう一度、会話の先へと目を運ぶ。
困ったように笑う桜庭に、そうなのか?と首を傾げる上司。
俺は無性にイライラしてきて、すぐに目を逸らし、奴らの方に荷物の壁を作った。
「あぁ、そうさ……」
俺は桜庭の事が大嫌いだ。
男らしさの欠片もない。面倒だし、性格は最悪だ。
上司の醜行にはつけ込むわ、盗撮するわ盗聴するわ、あんなろくでもない部下持ったことねぇよ。
何考えてんのかわからんし…
小賢しくてタチの悪い、悪趣味。腹黒。
腐れ外道。鬼畜野郎。
『ま、これからもその調子でな』
「はい、ありがとうございます!!」
俺以外の前ではいい顔しやがって、
あんな巧妙な作り笑い出来るやつ居ねーよ。
見せかけの爽やか気取って、いつまで調子乗ってる気だよ。
…嫌いだよ。
名前が女みたいで、俺の事が苦手な、作り笑いの見事なあの爽やか君が。
「……桜庭!! 今すぐ来いッ!!」
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