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why?
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俺には、今夜も観たい映画があった。
だから疾風のごとく仕事を終わらせて、また定時きっかりに上がりたいと思っていたのだが。…
今日は朝から特別ミスが多く、仕事も溜まっていたので、そんなわけにもいかなくなった。
…でもって今の俺は、
残業に加えて、とある問題を抱えている。
今朝からの態度を見る限り、桐嶋さんは俺と居るのが苦痛らしいので、
仕方なく何とか理由を作り、取引先への同行は遠慮してもらったというのに。…
彼は何故か今日も、
俺の残業に付き合ってくれているのだ。
くたびれた目元を我慢して、熱心にPCへ向かって…
それが当たり前になったのかというほど律儀に。
「あの…桐嶋さ」
「……うるさい、黙って集中しろ」
「ぅ……はい」
終始無言でやりにくいんだよ…!!
昨夜と同じく、どう見ても疲れているのに、そして頼んでもいないのに、何故多少の文句を言いながら、手伝ってくれるのか。
大嫌いな俺と何故一緒に居られるのか。
「…謎すぎる…」
「なんか言ったか」
「いえ…」
そういえば、
明美さんに、1つ相談し忘れたことがある。
し忘れた、と言うよりは、
出来なかったと言う方が正しいのかもしれない。
何故かって、変な誤解を生みたくないからだ。というのも、相談すれば変な誤解を生まざるを得ない内容だからなのだ。
おかしい。いかれてる。
俺としたことが、いや俺だからこそか、
極めてクレイジーなセンチメントである。
だって… だって…
ここ数日間、ほぼ四六時中、
この桐嶋さんのことで頭がいっぱいだ、
なんて…!!
変な気ばかり回してしまって、仕事に全く集中出来ないなんて…!!
…いや良かった。
これ絶対言わなくて良かった。
そんなこと相談した暁には、明日から俺がどんな酷い目で見られることか。
ほんとに違うんだ、決してそーゆーアレではないんだ。
ただ、この人の、深夜の1人でお楽しみtimeを目の当たりにした日から、どうも気になることが増えてしまって。
やっと人間の男なのだと認識出来たからだろうか…
普段の様子とか知りたいし、
実はマザコンなんだとか、少女趣味なんだとか、勝手に変な妄想作り上げちゃってほんと困ってるんだ。
「ぉい…おい!!」
「はひっ!?」
余計な事ばかりぐるぐる考えていると、隣に座っておる桐嶋さんに、思い切り肩を揺さぶられた。
「お前マジで耳遠いな。
そこの資料貸せって」
「ぁ、はい…!」
うんざりしている桐嶋さんに、直ぐに紙の束を手渡した。が、
彼が一度掴んだはずの資料達は、バラバラと手から落ちて床にばら撒かれてしまった。
「うわっ、大丈夫ですか…?」
「ぁ…ああ。悪ぃ…」
一通り集めてからふと桐嶋さんを見上げると、どうも様子がおかしかった。
顔がうっすらと赤くて、呼吸が荒い。
仕事はいつも通り早いけど、昨夜の残業よりきついみたいだし、座っているだけでも、明らかにだるそうだ。
「…んだよ。再開するぞ」
桐嶋さんは、おぼつかない目で俺を睨みつけて言った。
「…しませんよ」
「はぁ?」
まさかだけど…
ほんとにこの人、相当無理してるんじゃ…
俺はカラカラと椅子を寄せ、思い切ってその額に手を当ててみた。
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