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頭が沸騰しそうなんです
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「脱がせるって…」
石のように固まる俺。
待て待て。ちょっと待て。
逆に、一体何にためらうわけ?
男同士だし、別に何の抵抗もないし、特に気持ち悪いわけでもない………けど。
でもなんか、なんというか。
普段のこの人なら絶対嫌がるであろう事だけに、
とてつもなく恐れ多いんだけど…!!
何か過ちを犯せば瞬間に殺されそうだ。
俺はごくりと息を飲んだ。
「し、失礼します…」
何が失礼しますだ何が。
恐る恐るシャツのボタンに手を掛ける。
手を掛けてびっくり、シャツの生地も凄くいい。手触り滑らか。
プチンプチンと外して行き、前を開放すると、
袖から腕を抜くように促してやる。
程よく筋肉の付いた上半身は、
羨むような妬むようなものもあったが、
俺は今の状況を、お年寄りの介護にでも見立てて、邪気を殺していた。
「……先輩、肌綺麗ですね…」
「……はっ?」
「ななな何でもありません」
何今の変態発言。
何うっかり変なこと口走ってんの俺。
いや事実だけどさ。
男の人相手にそんな事考えてたの、馬鹿なの。
俺の破廉恥!
「…寒っ」
「早くこれ、着てください」
うずくまろうとする桐嶋さん。
それをさせずに急いで寝間着を渡す。
だるそうにして上の服を着替えるのを見守った後、
俺は更なる問題に頭を悩ませた。
「あの…先輩……ズボンは」
どっちかってと、ワイシャツよりも苦しそうなんだけどね素材的に。
とはいえ流石にそんな…
俺には出来ません桐嶋さん。
俺に貴方のベルトを開放する勇気はありません。
「……気にすんな一々。
さっさとやれ」
と、当然のように言い放った…!!
「オラ」と力なく足を突き出してくる桐嶋さんに、俺は冷や汗をダラダラ流した。
やれって何だよ。何、俺にあんたのズボンを脱がせろっていうの!?
わかってんのこの人、
部下に着替え手伝わせてるんですよ。
この人のプライドにかけて、後で絶対一生の恥になりますよ。
そこんとこ大丈夫なのか?
「…全て事が済んでから、
怒らないでくださいよ…」
頼むから。マジで。そこ重要。
俺は渋々、
桐嶋さんの腰に手を伸ばし、ベルトを静かに開放した。
そしてチャックを下げると、
何となく目を窓の方にでも逸らしつつ、
かなり躊躇しながらズボンを脱がせていった。
「大丈夫ですか、桐嶋さん…」
「あぁ…まーな」
……やばい。…
何か、もの凄くいけないことしてる気分になってきた。
だってあの桐嶋さんが、あの鬼上司が。
今までに無いほど弱りきって、こんな姿晒して……ダメだろそんなの。
言ってしまうと、
なんつーか、エロい。かなりエロい。
いや、男から見ても相当かっこいいとは思ってたけど…!!
まさかこの人相手に、こんな事しながら、
妙な感情持つ日が来るなんて思わなかったっての。
「…桐嶋さん……」
「ぁ?…どした」
「ぃ、いえ……」
特にこの長い脚……
普段のスーツでしか知らないから、今これ、すげぇ新鮮だし。
無意識というか衝動的に、
思ったより白かった太股を、
指でつーっと謎っていた。
「…ひっ!? な、何触ってんだよ」
「うわぁぁぁすいません!!
手が…手が滑りました!!」
咄嗟にベッドから軽く2メートルは遠のく俺。
よろけながら身構える桐嶋さん。
途端に、部屋に変な空気が流れた。
再び何してんの俺。馬鹿なの。
そんなに人肌に飢えてんの?
もしかして明美さんのご指摘通り、
俺は近頃欲求不満なのか、そうなのか。
つーか、
何だよ『衝動的に指で謎っていた』って。
どんな変態臭い言い回しだよふざけんな。
俺はそんなつもりじゃ……………
「てめぇ…熱でもあんのか」
「…いや。熱あるの、貴方ですから」
俺は気を取り直して、
先輩に寝間着のズボンを手渡した。
先輩も気を取り直して、着替えてくれた。
今の俺の行動が何だったのかなんてそんな疑問は、
もうお互い、口に出さなかった。
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