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マジで孤独な午前午後。
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次に起きた頃にはもう日が高くて。
熱でぼんやりしていたが、いつの間に二度寝してたんだって具合に記憶があやふやだ。
桐嶋さんと喋って俺の住所を送って、
部長に連絡入れて…
…そこからは覚えてない。
「あー…だり。薬飲も」
ぺたり、ぺたり
久しぶりに裸足で触れた床はひやりと冷たくて、次第に朦朧とした頭もはっきりし始めた。
そして改めて汚い部屋を一望すると、
思わず深い深いため息が漏れた。
「桐嶋さんはいいって言ってくれたけど…
やっぱこの部屋はないよなぁ…」
引きこもりが住んでるんじゃないんだから…
サラリーマンの一人暮らしなんて、家とかもはや帰ってきて寝るための場所でしかないのに。
どうしてこうも散らかるかなぁ…
性格出るんだなこういうとこで。わかるわかる。
「今頃桐嶋さんは仕事頑張ってるだろうしな…
俺もちょっとぐらい動くか」
熱も今朝よりはましになったみたいだ。
多少掃除や洗濯くらいしたところで、体調に支障はあるまい。
この地獄の汚部屋に立ち向かうことを決心した俺は、
とりあえず、
散乱した衣服やら本やらをちゃっちゃとそこら辺のタンスに詰め込んでみた。
どうだ。
これが見かけだけで生きる人間のお片付け方式だ……つまり、中身はもう汚くていい。
『パッと見整頓された部屋』を目指せ!!
それから夕方4時過ぎに至るまで、
食器洗いや洗濯物干し、ゴミ捨て更には掃除機をかけることに追われていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
「し…死んだ…」
そして再び体温計に目をやった時には、
40.3度を示していた。
「最高記録更新ですか。
調子乗って家事にのめり込み過ぎた…」
せっかく一時は元気取り戻してたのに。
低気圧が押し寄せごうごうと風の吹くあの中を、裸足に健康サンダルでゴミ捨て場まで歩いたのはやはりまずかったか。
…おいおい絶対そのせいだろ。
ホコリっぽさの無くなった部屋で、
綺麗な布団の中で、ぜいぜいうなされている可哀想な俺。
病気の日は、誰だって孤独感でネガティブ思考になるもんだ。
鬱な考え事しか浮かんでこない。
…確か人間って、42度を超えると死ぬんじゃなかったっけか。
俺もうすぐ死ぬんじゃないのか。
桐嶋さんは強いから、1日で復帰できたわけだけど、貧弱な俺には無理なんじゃないか。
このまま一生熱に苦しまされたらどうしよう……とかね。
「あー死ぬ。死ぬ死ぬ。
あっちぃなくそっ…」
暑くて熱くて、今すぐ裸になって冷蔵庫に収納されたい気分だ。
けど動けないんです、手足が脱力してるんです。
桐嶋さんがあの晩俺に着替えを乞うた訳が、今ならわからんでもない。
だってマジで何もできないもん、これ。
…あー早く桐嶋さんの顔がみたい。
この情けない姿見せて、馬鹿にされつつ心配されて、癒されたい。
看病してもらいたい。
あわよくば手も握ってもらいたい。
うー…あー…吐く。吐きそう。
しかもトイレ行きたい。
上からも下からも色々出そう。
桐嶋さんの前でそんな事態を起こすのは嫌だから、今のうちに処理しとかないとやばいんだけど。
下品とか言わないでよ、風邪の時は誰だってだらしなくなるものさ。
「あーしーぬーやめてー
俺の身体を蝕まないでー」
同じ体制でいることすら辛くて、ぐでんと寝返りを打つと、
俺の携帯が、何かの通知に光っているのが見えた。
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