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慎重に乱暴に
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家までは急いでも40分。
これが結構長く、
到着までのその時間、俺達は一言も喋らず、ただ焦れったい雰囲気を噛み締めた。
やがて車を止めた時には部屋のキーを手に持っており、部屋に着き扉を開放、
そして外と変わらず冷えきった部屋に踏み入った時、
俺は糸が切れたように桐嶋さんに抱きついた。
「はぁ…桐嶋さん…」
「靴脱げ、靴…」
一度俺を引き離し、靴と共に上着を脱ぎ去る桐嶋さん。
どこかに掛けるのも億劫なのか、その辺に荒っぽく放ってしまうあたり、この人も今相当焦れてるようだ。
再び詰め寄ると、グイッとネクタイを引っ張られた。
「ん…」
あんなに強引なのに、
この人のキスは積極的になるほど優しくて、気持ち良くて、とろとろに溶かされるような高揚感を覚える。
キスってこんな病みつきになるものだっけ
先程とは違い、
初っ端から舌を入れて、口内を暴くようにしても、桐嶋さんは怒らなかった。
睨まず、突き放したりもしなかった。
「は…桜庭……」
それはきっと、今この人が、
俺と同じ気分だからだ。
そう思うと、酷く興奮した。
なんか、すげぇ…やばいかも
流れに任せてシャツのボタンを外すと、その下にある、既に少しズボンを押し上げ始めているものに触れる。
桐嶋さんはビクッと肩を揺らして、焦った目でこちらを見てきた。
「おい、待っ…せめて、ベッドとか…」
「ぁ…そ、そうですね…
…一旦落ち着きましょうか」
お互いその気になってるとはいえ、
身体を重ねるのは今夜が初めてだ。
男同士の経験なんて、あったもんじゃない。
こうも焦るばかりじゃ、怪我させてしまうかもしれない。
突然不安が押し寄せてきて、ごくりと息を飲むと、
桐嶋さんは緊張を和ませるように、くたりと肩に身をもたげてきた。
「はぁ……はは、
年明けはお前と過ごすのかよってな」
既に11時を回っている時計。
この調子じゃ、日にちなど気づかぬうちに変わってしまうだろう。
「なんですか、俺とじゃ不満?」
俺は寝室に桐嶋さんを連れながら、悪戯っぽく笑ってみせた。
「…幸せなんだよ」
さり気なく手を握って、恥ずかしそうに呟く姿。
言葉の矢が、ズギュンと俺を射抜いた。
(もうなにこの人…調子狂うなぁ…)
いつもの刺々しさが軽減して、今日は妙に素直で甘ったるい。
仕事場では冷たくて怒鳴り散らしてくる桐嶋さんは、今ここには居ないのだ。
「ほんと、これ以上煽らないでくださいよ…」
「ぅわッ…おい!!」
突き飛ばすようにしてベッドの上に押し倒してから、間髪入れず覆い被さる。
桐嶋さんは驚いたようだが、特に嫌がる素振りは見せなかった。
「優しくしたい…
けど、泣かせたい。
俺、どうしたらいい…?」
本音を言えば、
めちゃくちゃにしてやりたい。
腰砕けして立てなくなるくらいまで、ぐずぐずに溶かしてやりたい。
…でも、大丈夫なんだろうか。
傷つけてしまわないだろうか。
「ど、どうしたらいいってお前…
それを俺に聞くのかよ」
躊躇する俺に、
桐嶋さんは緊張で強ばった顔を見せる。
バクバクと鼓動を乱しつつ、余裕持った振りをして、首に腕を回してきた。
「…散々好き勝手して来た癖に、
今更いい子ぶってんじゃねぇ。
何しても怒らねぇから、早く来い」
今だって必死なのに、そうやって一生懸命強気な言葉をぶつけてくれる。
俺を安心させるために。
そんなこと言っちゃって本当に後で後悔しないでくださいよ、と心の中で苦笑しつつ、
俺はゆっくりと桐嶋さんの耳に口付ける。
「ひっ」と短く声が上がるのを聞いて、
そのまま恍惚と囁いた。
「じゃあ、
お言葉に甘えて…
……いただきます」
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明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致しますm(__)m
…でもこいつらの世界はまだ大晦日です。←
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