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願いと誘い
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side:メイ
「ねー、たっくんどしよ。俺」
「はあ?何が」
この冷たい男子高校生は、俺の友達のたっくん。
因みに本名は、珠洲未 高良(すずみ たから)
「いやあ…片思いってやっぱり叶わないかな」
「え、お前好きな人いんの」
たっくんが意外そうに聞いてきた。
何で放課後教室に居るのかというと、机に頬杖をつきながらたっくんと行く甘味屋の開店時間まで暇つぶしをしているから。
それで話していると、少しだけ屋上が目に入ってきた。
屋上寒そうだな
なんとなくジッと見ていると、風に揺れるダークブラウンの髪が目をチラついた。
「あ」
ガタッと机を立ち、鞄を引っ掴む。
「メイ?!」
ごめん、たっくん…
この埋め合わせはまた今度するね、と心の中で謝る。
「ちょっと野暮用できたから今日の甘味屋はパス!たっくん、また誘ってね」
後ろでたっくんの声が聞こえるけど、無視して走り出す。
先輩、何で屋上なんかに居るのかな
また泣いてるー…?
先輩の泣き顔を思い出すだけで、胸がチクチクする。
バタバタと廊下を走り、屋上前の階段の踊り場に来ると階段の隅にいた影が動いた。
「ー…ッ?!」
驚いて足が前に滑った瞬間、目の前に影ー…元い人影が飛び出て来た。
「やっと捕まえたよお。騎士(ナイト)くん」
「うッわ!」
そう言った人影が倒れた俺のマウントポジションを取ると、ちょうど窓から光が射して顔が顕になった。
「ー…?えっと、何方様?」
覗いたのは、綺麗だけど毒があるー…薔薇みたいな顔。
「僕はねえ、片岡 鈴。(かたおか すず)まあ、君は知らなくても無理ないよ」
その人は俺の上で、人を喰った様な笑顔を浮かべて言った。
「用が無いなら退いてくれる?」
つい、疑わしさから刺々しい言い方になってしまう。
それに屋上が気になるのだ。
「何を言ってるのかなあ?勿論あるに決まってるだろうに…騎士くん。僕的にはねえ、幼馴染みだから一応彼の恋は応援してるのさ」
「何の話?」
『幼馴染みの彼』。一体それは誰を指すのかー…
でも、俺はなんとなくわかり始めた。
「ふふ、君も知っているだろう?彼だよ、彼」
キィィッと錆びた音が直ぐ近くで聞こえた。
そして気づけば、屋上のドアが開いていた
そこには貴澄先輩。
「メ、イくん…?」
だけど先輩は驚いた顔をしているから、今話しかけないといけないと、先輩が何処かに行ってしまうと、何故か思った。
「せんぱー…」
でも、目の前の人の唇は止まることを知らないように形を変え続ける。
「弓月だよ。朝霞 弓月」
その人の吐いた言葉は耳にこびりつく
『朝霞 弓月』
『彼』は先輩の恋人
それを聞くと、つい固まってしまった
この人の幼馴染みは朝霞先輩。
つまりー…
「邪魔がしたい?」
「言っただろうに。ちゃんと聞いといてよお。あくまで『邪魔』じゃなく弓月の恋を応援してるのさ」
この人、俺が先輩を好きだと気づいてるー…
「えっと、ッお取り込み中みたいだから僕行くね…」
先輩はそう言って、走って行ってしまった。
それに多分…泣いていた。
「先輩っ…くっそ、お前邪魔!」
先輩を追いかけるために下から身を捩るけど、この人がなかなか退かない。
…多分この人、合気道とかやってる
俺の方が体格良い筈なのに、ビクともしないのだ
「駄目駄目。やっと捕まえたって言ったろ?逃さないよお…騎士くんには既成事実作ってもらわなきゃいけないからねえ…」
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