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所変わって隣町「プレーン」
エルドベリーからは歩いて行ける距離の隣町で、街道も比較的安全であり、人々の往来は多く賑わっている。
だか、周囲を囲む草原の先には森が拡がっており、凶暴化した魔物が街道に現れることもあるので、度々、保全活動の依頼がギルドに寄せられる。
「白き聖杖の皆さん、いつも依頼を引き受けて頂き、ありがとうございます」
「いえいえ〜これも民間人の安全のため、当たり前のことをするだけですよ」
「(ねぇ、レオン、いつもの悪い癖が出る前に、クロエを黙らせなきゃ)」
「(同感だな。さっさと内容聞こうぜ)」
依頼主であるプレーンの町長宅に到着したシロ、レオン、クロエ。
軽いもてなしを受ける三人の中で、何やら不穏な笑顔を浮かべているのは黒髪の乙女、クロエだ。
「今回で街道の保全依頼は三回目ということですよね。毎回受けてるんだし、今回はもう少し報酬に色をつけて頂けたらなぁ〜って…」
「ああああの、今回はどの辺りの保全が目的ですかっ!?」
「…ちっ」
クロエの悪い癖とは、報酬を釣り上げたがることで、今回もいつもの通り、おねだり作戦を実行しようとしたらしいが、シロが間髪入れずに本題へと話を進めた。
不服そうなクロエの舌打ちを知ってか知らずか、町長は話し始める。
「…今回は森を重点的に見て頂き、原因の根絶をお願いしたいのです」
「っつーことは、魔物の凶暴化の原因が見つかったんだな?」
「確実とは言えないのですが、先日、森に狩りをしに行った猟師から、アレを見たという報告を受けたのです」
「アレ…つまり、『元晶石』?」
『元晶石』とは、生物を魔物に変えてしまう瘴気を生み出す、危険な石のことで、どこからともなく生まれては人々に害を成す物体のことである。
シロ達は思っていたよりも深刻そうな内容に、少々驚きを隠せずにいた。
「正しくは元晶石そのものではなく、変異体と思われる魔物の目撃情報なのですが、恐らく元晶石も近くにあるものと思われます」
「ちょっと、ギルドに来た依頼にはそんなこと書いていなかったわよ?」
クロエの指摘に、町長は申し訳なさそうに俯いてしまった。
「本当に申し訳ありません。依頼を出した後に件の目撃情報があったもので……その分、報酬は上乗せさせて頂きますのでどうか…」
「乗ったわ!町の人達の為に頑張りましょう!」
「ちょっ、クロエお前、勝手に決めんなよ」
「まぁ、僕は別に良いよ〜。お金が絡んだクロエには逆らいたくないし〜」
「ぐっ……確かに後が面倒だしな…。分かったぜ町長さん。俺たち『白き聖杖』に任せてくれ」
三人の決定に、町長は涙ぐみながら深く深く頭を下げる。クロエは、黒い笑みを浮かべたままであるが、町長の背を優しく摩った。
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