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クロエは、オリオンと名乗る男性を連れて、シロたちが座る円卓へ戻ってきた。
「えっと、この人ってクロエのお兄ちゃんさんなの?」
「お兄ちゃん"さん"ってなんだよ」
「あ!さっきの可愛い子猫ちゃんじゃないか。嗚呼、また出会えるなんて、これは運命かもし……!?!?」
シロとの再会に喜び、オリオンはその小さな手を取ってまたキザな台詞を吐こうとするも(勿論レオンの眉間には深いシワが刻まれた)、再びクロエが槍を取り出したのを見て押し黙った。
「いいから、何の為に来たのかさっさと言って?」
にこり、と綺麗な笑顔とは裏腹に、今にもオリオンを文字通り蜂の巣にしそうな雰囲気を纏いつつクロエが問う。
オリオンは小さく「はい…」と返事をして席に着き、依頼内容について話し始めた。
「要は、王都に居るコソ泥を捕まえろっつーことだな?」
「ふむ?王都にも治安維持部隊があるじゃろう?何故そやつらに頼まぬのじゃ?」
「あ、ヴァイスさん、居たの?」
「ギルドマスターじゃから聞かねばの。依頼を受理するかは儂が決めんとのぅ」
いつの間にか、座っているシロの傍にヴァイスも立って、依頼内容を聞いていた。シロはオリオンの話を聞くのもそこそこに、ヴァイスの尻尾をモフモフ触って遊び始める。
「治安維持部隊なんて形だけさ。実際は何の役にも立たない」
一瞬、淡々と話していたオリオンが悔しそうに眉を顰めた。何か騎士団と街の治安について深い問題があるのだろうか。
しかしオリオンはすぐに調子を取り戻して、話を続ける。
「ということで、役立たずな部隊に変わって、有能だと有名なこの『白き聖杖』に是非、お力を貸して欲しくてね」
「それで、なんでお兄ちゃんが単身で来るわけ?」
「国王はともかく、中枢のお偉いさんどもの頭が固くてね。大した問題とは思っていないんだよ。
だから、これは騎士団長としてではなく、俺個人の依頼なんだ」
「……ふぅん……」
クロエが何か言いたげではあるが、ヴァイスは少し考えたのち、依頼を受理することにしたらしく、オリオンに一枚の依頼用紙を手渡した。
オリオンは恭しくヴァイスに頭を下げ、依頼用紙を記入し始めた。
「ここはお主ら3人に任せた方が良さそうじゃの」
「えー!あたし、やるなんて言ってないですよ!」
「クロエ、お主とこのオリオンとやらは兄妹なのじゃろう?良いではないか」
「俺からも頼むよ、クロエ、妹のお前なら信用できるから…」
「……仕方ないわね」
クロエも兄の真剣な申し出に折れたらしい。が………
「おいおい、俺たちの意見は!?」
「えっと、僕はいいと思うよ〜?楽しそうでしょ〜?」
「シロ、お前な、このオッサンにセクハラされてんだろ?信用できるのかよ?」
「へえ、二人は付き合っているのかい?」
レオンの嫌そうな様子が自分のせいであるとオリオンは気づいていたので、そう問うと、レオンは顔を真っ赤にして黙り、シロは何のことか分からないとばかりに首をかしげた。
「あ、赤毛のイケメン君の片想いなんだね」
「お兄ちゃん、邪魔しちゃダメよ。この二人はね、あたしの予想ならもうすぐ」
「お、お、お前らなななな何言ってやがるシロの前で!!!ばばばばっかじゃねぇの!?!?」
「??なんのこと??付き合うって、どこ行くの〜?あ、今日の晩御飯の買い出し?行く行く〜!」
目の前で繰り広げられる"いつもの"騒ぎに、ギルドマスターであるヴァイスは、小さくため息をついてこの3人に任せて大丈夫なのかと、少々不安になってきた。
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