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シロは意外と簡単に貧民街へと辿り着いた。
いつもであれば、街の中だと目的地に到着するまで1人では普通の2、3倍の時間がかかるのだが、貧民街という雰囲気で何となく来ることが出来たらしい。
ゴエーモンのような、カッコいい義賊に会えるのではないかという期待に胸を膨らませ、シロは鼻歌を歌いながら街を闊歩した。
シロの容姿は、この貧民街の中では尚更目立っているが、本人はそれを気にしていないらしい。
無防備に歩く彼に、貧民達の好奇の視線が降り注ぐも、全く意に介していない。
「あ、露店だ〜!こんにちは!おじさん、なに売ってるの?」
「あ……ああ、街の外から仕入れた掘り出し物や、職人が作ったアクセサリーだよ」
「へぇ〜!これ、とっても綺麗だね」
「火の元鉱石を精製して、アミュレットとして加工してあるんだよ。綺麗だろう?でもお嬢ちゃんにはコレが似合いそうだねぇ」
「僕、お嬢ちゃんじゃないよ〜!これでも男なんですよ〜!でもこの花飾りは綺麗だな〜」
「!?これはすまないねぇ!あんまり綺麗な子だから、女の子だと…。この花飾りも希少な鉱石を磨いて加工して作ってあるんだ」
店主は最初、余りの場違いなシロの姿に驚いていたが、すぐに彼の持ち前のフレンドリーさにすっかり親しみを感じたようで、商品の説明を丁寧にしてくれる。
その時、シロの背後から背の高い男が近づいてきた。フードを深く被っており、表情は読み取れない。
「お嬢さん、この花飾り、欲しいのかい?」
「ん?お兄さん、誰?うーん、考え中!」
「おやっさん、この花飾り、1つくれ」
「あ、はい、値段は50クリスタだよ」
男はポケットから金を取り出し、店主に支払う。そして購入したその花飾りをシロに渡した。
「え?」
「いい子だから、富裕層区画に戻りな。此処はお嬢さんが居て良い場所じゃないよ。……じゃあね」
「あ、ありがとう〜!」
男はシロの頭をポンと撫で、貧民街の路地へと消えていった。
「良い人だったな〜、この花飾り、どうしよー?クロエにあげようと思ってたんだけど…うん、絶対似合うからあげよう」
花飾りの他に、もう1つ小さな包みを持って、シロは別の区画へと歩いて行こうとしていた。
「へえ、上玉じゃん。コソコソ嗅ぎ回ってるネズミちゃんって、お前かな?」
「!?離し……て……」
「まぁどっちでもいいや。楽しませてもらうよ」
大柄な男に背後からシロは羽交い締めにされ、甘い匂いのする布で呼吸を妨げられた。
途端に意識は遠く、シロは暗闇の中に落ちていった。
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