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王都の富裕層でも特に裕福なグロウン家の次男、ユゴーは、レオンとオリオンの尋問にようやく口を割った。
「クスリだよ…」
「うん?クスリ?」
「それ、ヤバいって噂のクスリだな?」
「父上が…盗まれたって…奪い返すために…」
ユゴーの言う概要はこうだ。
グロウン家は元々小さな家であったが、裏の取引を始めた時、その危ない薬で成功し、今のような大富豪にまで上り詰めたとの事だ。
その製造法を他の商家に盗まれたため、息子達や貧民街の荒くれに金を掴ませ、夜な夜な富裕層の家々を探し回らせているらしい。
「成る程ね。あわよくば貧民街の者達に全ての責任を押し付けるつもりだったんだろう…だが、自分の息子を使った時点で、終わりだよ」
「……俺たちがどうなろうと、父上は気にしないさ…どうせしらばっくれる」
「……チッ、胸糞悪りぃ話だな……おい、そいつ任せていいか?おっさん」
「オリオンと呼んでくれるかな?まだおっさんと言われる歳ではないよ」
「あーどうでもいい。俺は一度シロとクロエに合流して、情報の共有する。じゃーな」
「ああ」
街の空も夕焼けに染まり、あちこちで光が灯り始めた。レオンは足早に、合流地点へと向かって行った。
「……なんか嫌な予感するぜ……シロ…無事でいてくれよ」
合流地点の広場には既にクロエが立っていた。ドレスからは着替えているため、クロエが先程までどんな格好をしていたか、レオンは知る由もない。
「レオン!どう?良い情報掴んだ?」
「おう、バッチリな。……シロは?」
「それが、まだ。迷ったりはしない筈なんだけど…」
「俺、探してくる」
「あたしは此処に残るわ。入れ違いにならないように」
「ああ、頼む」
レオンはギリ、と歯を食いしばり、シロの安全を祈りながら貧民街へと走って行った。
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