アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
14
-
レオンはシロの手を引いて、倉庫小屋からようやく抜け出した。外はすっかりと夜であるが、街の明かりが旧市街まで照らし、そこまで暗くはなかった。
街へ戻ろうとする2人の前方から、数人の人がやって来ているようだ。レオンはシロを後ろに守り、剣を呼び出す。
「シロー!!!レオンー!!!無事ぃーー!!?」
「あの声は…あいつだな」
「クロエだー!!」
前方から松明を持って走ってきたのは紛れもなくクロエで、その後ろからオリオンも数人の騎士を連れてやって来た。オリオンが何やら指示をすると、騎士達は街の方へ戻っていった。
「ごめんね、シロ…あたしが1人で大丈夫でしょって言っちゃったから…」
「大丈夫だよクロエ!レオンが助けに来てくれたし、生きてるから〜」
「うん…ほんと良かったわ…!シロ〜!ぎゅっぎゅっ」
「ぐるじい…」
「おいクロエ馬鹿やめろ」
締め落とす勢いでシロを抱き締めるクロエを引き剝がし、レオンはオリオンに先程の件を報告する。
「ああ、ラース グロウン氏はもう身柄を確保しているよ。伝令があってね、旧市街に不審人物が現れたと」
「それで、広場でお兄ちゃんに会ってね、あたしも一緒に来たのよ。途中、転がるみたいに走ってる貴族のお坊ちゃんが居たから、ちょっと捕まえてみたらビンゴだったわ」
「俺も一目であれがグロウン家の長男とは分かったが…クロエ、お前、俺に確認を取る前に槍で叩き伏せたよね?」
「いいじゃない。結果的に」
2人の話によれば、無事ラースは捕らえられたらしい。シロとレオンはほっと息を吐いた。
「というか、シロ、その格好どうしたの!?待って!言わないで!妄想で分かる!」
「馬鹿なこと言ってんじゃねー!」
「冗談よ。シロ、これ持って」
「なにこれ?ボタンのついた…箱?」
クロエは何処から取り出したのか、ボタンのついた小さな箱をシロに手渡し、合図をしたら押すようにと言った。
そしてクロエはおもむろに槍を構え、元素術の詠唱を始める。
「な、何やってんのお前」
「ちょっとレオン黙って。シロはじっとしててね。簡易詠唱でいいわね…
揺らぎ さざめき 覆い隠すもの
水の元素よ 集いて 纏え」
クロエが槍の石突きで地面を軽く突くと、シロを中心に大きな水の柱が噴き出した。
「おま、お、お前!シロになにしやがる!」
「シロ?聞こえる〜?」
「うん!すごーい!綺麗!」
「え?」
どうやら水柱の中心は空洞になっているらしい。慌てるレオンを尻目に、クロエがシロに指示をする。
「ボタン押していいわよ」
「はーい!……え!何これ!わっ!大変!」
「シロ!大丈夫か!?」
「クロエ…友達だろう…何て事をするんだ」
「あんた達落ち着きなさいよ」
水柱の中で何が起こっているか知り得ないオリオンとレオンはシロを心配するが、クロエは平然としており、シロは何やら楽しそうだ。
しばらくして水柱が収まると、シロは真新しい服を着て立っていた。
「な、何が起きたんだよ?」
「あのね!なんかね!妖精さん?がこう、ビューって!」
「一体、何をしたんだい?」
「ふふ、新開発の人工精霊を使った、早着替えマシーンよ!」
どうやら箱には仕掛けが施されており、人工精霊が着替えを手伝ってくれるシステム…だそうだ。
水柱はただの、即席着替えルームだったという事らしい。
「ほら、いつまでもこんなトコに居ないで、さっさと街に戻りましょ!詳しい話は宿で聞くわ」
「お、おう」
「新しい服!ありがとうクロエ〜」
「どういたしまして〜」
こうして4人は旧市街を後にした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 28