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2日目 2
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「あ、りっちゃんさ、今日暇?」
登校中、ナツから唐突もなく言われる
「暇だけど…なんで?」
「この前言ってた、うーちゃん、取ってよ」
少し考えて、あぁと思い出す
この前ゲームセンターに行った時、クレーンゲームでナツの好きなキャラのぬいぐるみがあったと言う話をして今度一緒に行こうと言われてたっけ
「今日、私も用事ないし、久々にゲーセン行きたいな」
別に断る理由もなければ、俺もゲーセンは行きたいと思っていたから何も考えずに了承する
「じゃあ終わったら私のクラスに来てね」
「おう」
そこからは適当に話して昇降口先で別れる
教室までの間で、何故かナツのピアノが聞きたいなと思い、音楽プレイヤーからピアノ曲を選び、ヘッドホンをする
さっきまで聞こえていた雑音のような人の声が聞こえなくなり綺麗なピアノの音が聞こえる
教室へ入るが、別に声をかけることもなく自分の席に行き鞄を掛けるとそのまま突っ伏す
優しいナツの音色に耳を傾ける、久々に聞いたこの音…最後に弾いていたのを聞いたのはいつだっけ
あぁ…でもナツのを聞くとどうしても
「………ギター、触りてぇー…」
「りっちゃん、ギター弾けるの?」
「!!!」
独り言のように呟いたのに真横から、それも耳元で声が聞こえ、勢いよく振り返る
間近にイケメン顔が見えて二度驚く
そこでようやくヘッドホンを外し、一旦心を落ち着かせる
「あ、ごめん、驚かせちゃった?」
「…驚くどころじゃねーわ…」
「で、ギター弾けるの?」
まだそこに突っ込んでくるかと思い、一つため息をつく
「話す気はない」
そう、誰にも話す気はない
例えそれが親友でも、妹でも、親だとしても
どんだけ俺の隣にいようとも、話す気はなかった
「ふぅん…」
そう言うと陽介は何も聞かず、自分の席に戻った
俺は後ろを振り向かずとも、じっと見られていたことに気付き、振り向けなかった
ナニカを見透かされてる気がして。
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