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超能力編ー2日目・昼(死体発見)
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大広間に着いて、ぐるっと見回してみる。大体の人がもう来ているみたいだ。やっぱり愛子さんはいない。そして…
…あれ?
「尚ちゃんまだ来てないの…?」
そうつぶやいたとき、広間の電気が消え、昨日と同じように心の見えない人…ゲームマスターの姿が部屋の真ん中に浮かび上がった。
「これで全員が揃いました」
「…え?」
尚ちゃんは?
尚ちゃんがいない。
昨日襲われたのは愛子さんのはずなのに。
「今から話し合いを始めてください」
「ちょ、ちょっと待って!」
僕の叫びは無視して、ゲームマスターの姿は消えて部屋が再び明るくなった。
「なんで…どうして…?」
「残念だねー知真くん。君の恋人は殺されちゃったんだね!」
操士くんがそう言って僕の肩を叩いた。
「そんな…そんなはずないよ…だって襲われたのは、愛子さんのはず…」
「…愛子ちゃんが襲われたの?」
そこで突然隼人さんが口を開いた。
「は、はい…。昨日テレパシーでそれを聞いてて…」
「犯人は?」
「いやそれが…愛子さん、犯人の名前を思い浮かべなかったから、わからなくて…」
「じゃあ、尚武くんが犯人なんじゃないの?」
「えっ?」
隼人さんは僕を鋭く睨んでいる。
「尚武くんが愛子ちゃんを襲いに行って、相討ちになったってことじゃないの?」
「そ、そんなはずない!尚ちゃんが人を殺すなんて、そんなことするはずないよ!」
「じゃあ愛子ちゃんは誰に!」
「まあまあ、待ってよ2人とも」
まもりちゃんが僕と隼人さんの間に割って入った。
「ここで話してても仕方ないよ。とりあえず、愛子ちゃんと尚武くんの部屋を見に行ってみよう!ね?」
「…うん、そうだね。僕、行ってくる!」
「あ、ちょっと待ってよー!」
僕は大広間を飛び出し、尚ちゃんの部屋へと走りだした。
尚ちゃんの部屋へは、入れなくなっていた。頑丈なツタが扉に絡みついていて、全く動かないのだ。
「何これ…どういうこと?」
僕が扉の前で立ち尽くしていると、後ろから数人が走ってきて僕に追いついた。
「も、もう。速いよ、知真くん」
まもりちゃん、風見さん、日吉さん、工士くん、綾乃さんがいる。
「まもりちゃん、どうしよう。何だろうこれ。中に尚ちゃんがいるの?」
「うーん、そうだと思うけど…」
「わたしの力が使えるかしら」
綾乃さんがツタを眺めて言った。
「えっと…綾乃さんの能力って…」
「年齢を操作することよ。植物に効くかはわからないけど、やってみる価値はあるかもしれないわ」
綾乃さんはツタを掴んで力を込めた。
するとツタはみるみる生長していき、たくさんの花を咲かせた。そして、そこで止まってしまった。
「えーっと…綺麗ですね!」
まもりちゃんは困った様子で笑ってそう言った。
「そうね。本当は枯らしたかったんだけど、これ以上生長しないみたい」
「それじゃあ次は、わたしに任せて!」
まもりちゃんが右手を掲げると、手の中に炎が生まれた。
「この炎で植物を燃やし尽くして…!」
「やめなよ、まもりちゃん」
工士くんが慌てて声をかけた。
「そんなことしたら、火事になっちゃうよ!」
「大丈夫!わたしの能力、この建物は燃やせないっていう制限があるらしいから!」
「そうなの?いやでも…」
ガチャ
突然ドアが開き、中から眠そうな顔で尚ちゃんが出てきた。
「え!尚ちゃん?!」
僕が駆け寄ると、尚ちゃんはあくびをしながら僕の頭を撫でた。
「あー、おはよ。ごめん、寝坊しちゃって。でも朝から知真に会えて嬉しいな」
「尚ちゃん?何ともないの…?」
「え?何の話?…って、あれ?どうしてみんなここに?」
尚ちゃんはようやく状況に気づいたらしく、きょとんとした顔で見回している。
「よくわからんけど生きとったってことか…」
日吉さんがほっとした様子でつぶやいた。
「それじゃ早く、愛子さんの部屋に行った方が良さそうだな。行こうぜ、まもりちゃん」
「やめてください」
風見さんがまもりちゃんの手を握ろうとして、パンと叩かれた。
「…それにしても、本当に綺麗な花ね。これ、誰かの能力で作られたものなのかしら」
綾乃さんが花を1つ摘み、花びらにキスをした。
「あなたに差し上げるわ」
そしてまもりちゃんの髪に刺し、にっこりと笑った。
「へ……?ま、まあ、とりあえずみんなで愛子さんの部屋に行かなくちゃね!」
そう言ってまもりちゃんは愛子さんの部屋に向かって走りだした。他の人もまもりちゃんの後を追う。
そして僕と尚ちゃんだけが残された。
「よかった…尚ちゃんが無事で」
ほっとして泣きそうになっていると、尚ちゃんは再び僕の頭を撫でた。
「心配かけてごめんね。でも…なんだろう、この植物」
「尚ちゃんの部屋、外からは全然開けられなかったんだよ。尚ちゃんがあっさり出てきてびっくりした」
「外からは開けられなくて、中からは開く…まるで、部屋に鍵がかかってるみたいだな。…って、あれ…?」
僕と尚ちゃんが見ていると、ツタは徐々に萎んでいき、パッと消えてしまった。
「植物を操る能力なのかな。でもそんな人、昨日の自己紹介の時にはいなかったよね…?」
「尚ちゃん、僕たちも愛子さんの部屋に行こう」
「そういえば、愛子さんに何かあったの?」
「…たぶん、襲われたんだ。僕、テレパシーで聞いちゃったから」
尚ちゃんは驚いたように僕を見て、そっと抱きしめてくれた。
「怖かったよね。そばにいてあげられなくて、ごめん」
「ううん。ありがとう」
尚ちゃんが無事で本当に良かった。
もし尚ちゃんがいなくなったら、僕はもう生きていけないだろう。
愛子さんの部屋には、石になってしまった愛子さんの姿があった。
目を大きく見開いて、入り口を見つめている。
「ひどいわね。こんな風にしてしまうなんて…」
広衣さんがそう言って手袋を外し、愛子さんの石像に触れた。
「何か見えるんですか?」
工士くんがそう尋ねている。
広衣さんの能力はたしか…サイコメトリーだ。物に触れることで、その持ち主の過去を見ることができる能力。
「…ええ」
「なんだ。犯人がわかったってこと?早くその人を処刑して終わらせちゃおうよ」
夢さんがあくびをしながらそう言った。
昨日まで生きていた人が石になっているのに、全く興味がないみたいだ。
「いえちょっと…頭を整理させてちょうだい」
広衣さんはその場に座り込んだ。
殺人の場面を見たんだ。ダメージを受けるのも無理はない。
「もう元には戻らないのかな?まるで生きてるみたいなのに」
まもりちゃんがそう呟くと、透さんがふっと笑った。
「戻らないよ。これは人じゃない。ただの石だ。だれかがこれをやった」
「そんな…愛子ちゃん……」
隼人さんがその場に崩れ落ちた。
「さっきから思っとったんだけど、隼人くんは愛子ちゃんと知り合いなん?知真くんのテレパシーでの話を聞いたときも、なんかやけに驚いとったし」
日吉さんが隼人さんに尋ねた。
「いや…全然…」
「…は?じゃあなんでそんなショックを受けとるの?」
「顔が好みだなぁって、初めて会ったときから目をつけてて…」
「…ほう」
隼人さんの周りの空気がさっと冷たくなっていくのを感じる。
「あと一歩、あと一歩で落とせてたはずなのに…」
隼人さんは地団駄を踏んでいる。
「…知真、愛子さんの心の声、聞いたんだよね?」
尚ちゃんが耳元で囁いた。
「う、うん…。隼人さんのことは、全く考えてなかったな…」
「言ってあげたら?」
「い、いやいやいや…」
「愛子さんの無念を晴らすためにも、絶対犯人を見つけないと。大広間に戻って話し合いを始めよう!」
隼人さんは拳を高く上げた。
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