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超能力編ー2日目・昼(話し合いと処刑)
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<話し合いスタート>
残り人数 12人
内藤知真(テレパシー)
水川尚武(水つかい)
二木操士(サイコキネシス)
二木工士(サイコキネシス)
相馬隼人(瞬間移動)
日吉覚(幻覚)
風見強矢(風つかい)
三木透(?)
灯野まもり(パイロキネシス)
加古広衣(サイコメトリー)
蛭間夢(催眠術)
若草綾乃(年齢操作)
×石動愛子(石化)
隼人「ひとまず、情報を全て共有しよう。二手に分かれていたわけだし」
尚武「あ、じゃあまず俺がお騒がせした件について」
操士「そうじゃん。尚ちゃん、死んだんじゃなかったのー?」
知真「尚ちゃんって呼ぶな!」
操士くんを睨んだが、涼しい顔をしている。
尚武「えーっと、遅刻の原因は俺が寝坊したってだけなんだけど、俺の部屋のドアは外から開けられないようになっていたんだ」
広衣「どういうことかしら。鍵でもかかっていたの?」
まもり「尚武くんの部屋のドアには、ツタがびっしり絡みついていたの。すごく頑丈で、びくともしなかった」
綾乃「わたしの能力を使ってみたのだけど、思うようにきかなかったわ。きっとあの植物も、超能力で作られたものだと思う」
知真「どうしようか困ってたら、中から尚ちゃんがドアを開けて出てきたんだ。外からは開かないけど中からは簡単に開くようになっていて」
隼人「なるほど。誰かが昨日の夜、超能力を使って尚武くんの部屋のドアにツタを絡ませたってことだな」
強矢「おい、人狼は1晩に1人しか襲えないんだよな?石動と尚武の2人を襲うなんて、ルール違反じゃないか?」
尚武「俺は襲われたわけじゃないよ。…むしろ、守られてたんじゃないかな」
強矢「守る…?」
尚武「あの植物があれば、人狼が俺の部屋に来ても、中に入ることができなくなる。その夜の襲撃は失敗になるってことだ」
知真「なるほど!誰だか知らないけど、尚ちゃんを守ってくれてありがとう!」
工士「…誰がやったんだろう?」
工士くんがぽつりと呟いた。
工士「昨日自己紹介をしたときには、そんな能力の人いなかったのに…僕たち以外にも誰かがいるってこと?」
操士「そんなこともわからないの?馬鹿だなー工士は」
工士「ご、ごめん操士…」
まもり「もー、工士くんをいじめないで!そんなにいうなら教えてよ。誰がやったのか」
操士「この中の誰かだよ。能力を隠すために嘘の能力を言ったんだ」
まもり「どうして?人狼でもないのに、能力を隠す必要があるの?」
操士「人狼にとって邪魔な能力だから、そんなもの持ってるって知られたらすぐ狙われちゃうでしょ?」
まもり「それなら自分の部屋のドアにツタを絡ませとけばオッケーじゃん!」
操士「たぶんそれはできないんだよ」
まもり「え、どうして?」
操士「まりもちゃーん、ちょっとは自分で考えなよ?僕もうしゃべるの疲れたー」
まもり「えええー!操士くんの意地悪!まりもじゃないし!」
覚「同時に複数の部屋に対して能力を使うことができんかったんじゃない?」
日吉さんが口を挟んだ。
覚「現に、俺の部屋のドアはあんなことになっとらんかった。そんな能力が使えるなら、全員の部屋に使やいいのに」
まもり「ほえー、なるほど!尚武くん以外に、自分の部屋のドアにツタがあった人はいる?」
まもりちゃんがそう問いかけたが、誰も手を挙げない。
隼人「まあつまりこの中には特定の誰か1人を襲われないように守る能力を持っている人がいて、そのことがバレないように嘘をついてるってことだな」
工士「…そういえば、透さんは?」
透「ん?何?」
透さんが初めてしゃべった。そういえば、昨日はゲームについて色々言っていたのに、話し合いに全然加わろうとしていない。
工士「透さんは自己紹介のとき、自分の能力を隠してましたよね。もしかして、この能力を使ったのって…」
透「あははっ、僕はそんなつまんない能力持ってないよ。僕のことは放っておいて、話し合いを続けてよ」
工士「で、でも…」
操士「あーうるさいなぁ工士は」
工士「ご、ごめん…」
操士「植物の能力の人は、狙われないために自分の能力を隠してるんだよ?それをわざわざ暴いてどうするの?守ってくれる人がいなくなったら、こっちの有効な能力を持ってる人がどんどん殺される。それ、わかるよね?」
工士「あ、そ、そうだね…」
工士くんは、操士くんとしゃべっているとどんどん小さくなっていくように見える。実際、操士くんのことはどう思っているんだろう?…能力、使って見てみようかな。
工士『やっぱり僕には操士がいないとだめだ。頭は良くないし、能力も操士みたいに上手く使えない。まもりちゃんと仲良くなれたのも操士のおかげだし、こんな僕を見捨てないでくれてるし…』
ふうん…操士くんのこと、嫌いなわけじゃないんだ。
工士『植物の能力かぁ。一体誰なんだろう。まあ僕には関係ないけど…』
そこまで聞いたとき、尚ちゃんの声が聞こえてふっと意識が戻った。
尚武「その能力を持っている人に一つ言っておきたいんだけど」
尚ちゃんは全員の顔を見回している。
尚武「今夜からは知真を守ってくれ」
知真「えっ…?」
突然の言葉に顔が熱くなる。
操士「あれれー、何言っちゃってるのかな?ラブラブアピールきしょいよ?」
尚武「知真は人狼の正体を直接知ることのできる可能性のある能力を持っている。だけど、襲われたら反撃するのは難しい。知真を守るのが一番メリットがあるんだ」
まもり「うんうん。たしかにそうだね!…あ、そういえば、知真くん、昨日の夜は能力を使ったんだよね?誰が人狼かわかった?」
知真「えっと…人狼の正体はわかんなかった。僕の能力、1晩に1人に対してしか使えないようになってたんだ。それで…愛子さんに能力を使ったんだけど…」
隼人「じゃあ、尚武くんの件はここまでにして、愛子ちゃんの件に話を移そうか。知真くん、続けて」
知真「う、うん。愛子さんは襲われたとき、相手の名前を思い浮かべなかったんだ。だから、誰に襲われたかはわからない」
強矢「あの根暗女、何やってんだ」
隼人「あん?」
知真「え、えっと…それで、愛子さんはずっとドアを見続けて、入ってきた相手と即座に目を合わせるっていう作戦をとっていた。で、実際その通りになったんだけど、なんかうまくいかなかったみたいで」
まもり「どうして失敗したの?」
知真「入ってきた人物は、愛子さんと目が合っても石にならなかったんだ。愛子さんはおかしいと思いつつもひたすら目を見続けて…そこで、心の声は途絶えてしまった」
まもり「あー、わたしわかった!愛子ちゃんと同じ能力を持ってる人がこの中にいるってことだね!」
まもりちゃんが元気よく手を挙げた。
まもり「同じ能力だけど、人狼の方が強かったから、愛子ちゃんが負けちゃったんだ」
工士「えっと…そんな人いたっけ?」
まもり「いなかったけど、嘘ついてたんじゃない?」
操士「へ〜。じゃあ教えてよ。誰が犯人なの?」
まもり「えーっと…あ、いいこと思いついた!全員が能力の見せ合いっこすればいいんだよ。そうすればわかるよ」
透「だめだよーそんなの!」
まもり「えー、なんで?透さん、能力ずっと隠してるし…」
透「そんな方法つまらないよ」
まもり「つまらないって、そんなこと言ってる場合じゃ…」
夢「わたしも反対。めんどくさい」
まもり「ええー!」
工士「僕もやめといた方がいいと思うな」
まもり「え、工士くんまで?」
工士「さっきの植物の能力の人もそうだけど、訳あって能力を隠している人もいるかもしれないよ。それに、愛子さんを襲ったのは本当に同じ能力の人なのかな…」
まもり「う、うん…」
操士「ダサいねー、まりもは。工士なんかに言いくるめられちゃって」
強矢「あんさ、ずっと思ってたんだけど」
強矢さんが3人に割って入った。
強矢「君ら2人とまもりちゃんって、どういう関係なの?まもりちゃんを狙ってる立場としては知っておきたいんだけど」
まもり「ね、狙ってるって…お断りだよ!あなたみたいな人、好きじゃないから」
工士「えっと…僕たちは幼なじみだよ。家が近所なんだ」
操士「こいつらと僕を一緒にしないでよー。まりもと工士は知らないけど、僕は全然仲良くないから」
広衣「話を元に戻していいかしら」
広衣さんが冷たい口調で言った。
広衣「さっきサイコメトリーを使って、犯人につながる手がかりを得ることができたの」
隼人「おお…さすが広衣さん。それで、手がかりとは?」
広衣「愛子さんが殺される直前の様子を、一瞬だけ見ることができたわ」
尚武「一瞬だけ?…もしかして、その能力にも制限が?」
広衣「ええ。2秒間の無音の映像しか見られないみたいなの」
隼人「それで、それで?何が見えたんですか?」
広衣「目の前に、全然知らない人が立っていたわ。その人の顔がさっと愛子さんの顔に変わって、終わり」
尚武「なるほど…知真の聞いた様子とも、矛盾してないね」
知真「あ…そうだね。愛子さん、知らない人だったから名前を言わなかったのかな…?」
まもり「ちょっとちょっと!知らない人ってどういうこと?この屋敷にわたしたち以外の人がいるってこと?」
透「それはないよ。そんなの、ゲームの意味がないじゃん」
知真「犯人は僕たちの中にいるはずだよ。昨日襲われたのは愛子さんだけ。人狼以外の知らない人がやったとしたら、もう1つ死体がないとおかしいよ」
まもり「そっか…じゃあ誰かが変装して行ったのかな?知真くんや広衣さんの能力で、正体がバレちゃわないように」
広衣「変装にしてはクオリティが高かった気もするけれど」
綾乃「ところで、結局愛子さんはどうやって石になったのかしら。…まもりちゃんは、どう思う?」
綾乃さんはそう言いながらまもりちゃんの頭を撫でている。
まもり「えっ、えっと…なんですかこの手……」
強矢「なんだおばさん。あんたも敵かよ」
綾乃「お、ば、さ、ん?」
綾乃さんの目がキラッと光った。
強矢「おばさんだろ。若く見えるけどところどころセンスが古いんだよ。能力で若作りしてるのが見え見え」
綾乃「…今まで言わないでおいたんだけど、あなた、どこかで見たことある顔よね」
強矢「…は?」
綾乃「うふふ。どこで見たんだったかしら〜」
強矢「………」
なんだかよくわからないけど、強矢さんが綾乃さんを睨みつけている。
隼人「はい、そこまでそこまで。…愛子ちゃんが石になったのは、鏡を見たせいだと思う。みんなうすうす感じてたかもしれないけど」
日吉「ま、そうなるわな」
知真「犯人は、鏡を使って愛子さん自身の目を見させることで、愛子さんを石に変えた。つまり、石に変える能力を持っているわけじゃないってことだね」
まもり「なるほどなるほど!でもそれだと、どうやって犯人を絞ればいいのかな?鏡なんて部屋に置いてあったから、誰でも持ってこれるし…」
広衣「わたし、日吉さんが怪しいと思うの」
覚「……え?俺が?」
みんなの視線が日吉さんに集まる。
広衣「日吉さん、幻覚を見せることができるのよね?わたしが見た知らない顔の人は、日吉さんが出した幻覚だったんだと思うわ」
覚「ええ?いやたしかに、俺は幻覚を見せる能力を持ってるけどさ」
広衣「愛子さんが目を合わせても相手が石化しなかったのは、まぼろしだったから。そうやって愛子さんを幻覚に引きつけているすきに、鏡を取り出して彼女に見せた」
隼人「それは…合理的な説明ですね」
覚「いやいやいや、俺は犯人じゃないって。人殺しなんてできんし。…あ、知真くん、テレパシー使えるよね?俺の心、見てくれん?犯人じゃないって証明できるから」
知真「えっ?あ……ごめんなさい。その…昼の分の能力はもう使っちゃってて…」
覚「は?」
知真「能力は昼と夜に1回ずつしか使えないじゃないですか。さっき使ったんです。だから日吉さんには使えません。本当にごめんなさい」
覚「そ、そんな…どうしてこんな肝心なときに…」
尚武「知真を責めるのは許さないよ」
尚ちゃんが珍しく刺々しい言い方をした。
覚「俺はやっとらん!」
綾乃「証明はできるの?」
覚「それは…できんけど…」
まもり「で、でも、日吉さんがやった証拠もないよ!処刑、とかするのは…」
操士「じゃあ代わりにまりもが処刑される?」
まもり「えっ」
操士「残念だなー小さいときから一緒にいたまりもと、ここでお別れかぁ。あはは!」
まもり「ちょっと…やめてよ…」
まもりちゃんは何も言えなくなってしまった。
広衣「他に処刑する根拠のある人は見つからないし、日吉さんを処刑しましょう」
隼人「ああ…それがいいのかも…」
覚「ま、待てよ!処刑って、取り返しのつかんことじゃん。こんなところで殺されたら、困るんだよ。俺はやっとらんって。変装なら誰だってできるじゃん。そこの女が自分の年齢を変えて違う人に見せかけとったのかもしれんし、そいつが瞬間移動して誰か身代わりを連れてきとったのかもしれんし」
綾乃「あら、それは無理よ。いくら変装していたとしても、石化の能力が効かない理由にはならないもの」
隼人「身代わりを連れてきたとしても一緒だ。それに、俺が愛子ちゃんを殺すわけないだろ!!」
透「じゃあ、ここは多数決をとってみたらどうかな」
覚「多数決…?」
透「怪しいと思う人に、全員で一斉に指をさすんだ。得票数が一番多い人が処刑される」
覚「そんな、そんなの…」
広衣「それでいいと思うわ。多数決に反対の人はいる?」
誰も手を挙げない。
透「はい。じゃ、多数決ね。いっせーのーで」
いきなり言われて慌てて指をさした。日吉さんには悪いけど、この状況で、日吉さん以外の人に投票する理由が見つからない。
全員の指が、日吉さんをさしていた。
覚「俺はやってない。自分が殺されたくないからって、ほいほい賛成しやがって。…最後に母ちゃんの味噌煮込みうどん、食いたかったな…」
日吉さんが目を閉じた。
<話し合い終了>
部屋の片隅にゲームマスターの姿がふっと現れた。
「それでは処刑の時間です。日吉覚、ステージへどうぞ」
部屋が暗くなり、いつのまにかできていたステージに、パッと光が差した。
日吉さんは何かに操られるかのように、ステージへ進めていく。そしてステージ中央で足を止めた。
「服従の能力を持っている方の協力を借り、処刑される方は、自分の能力で自殺するという形をとってもらいます」
「へー。面白そうだね!」
静かな部屋に、操士くんの笑い声が響く。
「それでは始めましょう」
日吉さんがゆっくりと手を持ち上げると、突然空中に2本のナイフが出現した。
日吉さんはナイフを両手にとると、ためらいなくそれを自分の体に突き刺した。
「うっ…あああっぎゃあああっ」
悲鳴は上がっているのに、体からは一滴も血が流れていない。幻のナイフだからだろうか。
でも日吉さんは苦しそうに体をゆがめ、ぜえぜえと息を吐いている。
日吉さんはナイフを抜いては体に刺すという動作を繰り返している。痛みは感じているのに、外傷は全くない。
苦しんでいるのに死なないまま、時間だけが過ぎていく。
「ふーん。思いこみでも痛みは感じるんだ。痛みによるショック死を狙ってるのかな?床が汚れないからエコだねー」
操士くんが僕の横でそう呟いた。
「でも、飽きちゃったな。新たな展開、欲しくない?」
「…えっ?」
操士くんはすたすたとステージへと歩きだした。
『操士が何かしようとしてる。止めないと。止めないと。でも、怖くて体が…』
工士くんの心の声が耳に入る。工士くんを見ると、泣きそうな顔をしていた。
その間も操士くんは歩き続け、ついにステージ上で苦しんでいる日吉さんの隣に立った。そしてポケットからキラリと光るナイフを取り出した。
「今楽にしてあげるねー」
操士くんは右手を上げ、日吉さんの心臓めがけて振り下ろした。ナイフを抜くとびゅっと血が飛び、操士くんの体にかかる。
「はい、おしまい」
操士くんがにこっと笑ってそう言うと同時に、部屋の中が明るくなった。
「そ、操士!!」
工士くんが操士くんの元へと駆け寄った。
「なんで…なんで殺したの?」
「もー見ててジリジリしちゃって。殺したくなっちゃった。むしろ感謝してほしいんだけど?」
「か、感謝…?」
「工士はずっと見ていたかったの?あのよくわかんないショーを」
「………で、でも殺すなんて…」
「あははっ、血っていい匂いだね」
操士くんは工士くんを押しのけ、僕たちのところへと戻ってきた。
顔にも体にも血がべっとりついていて、右手には真っ赤になったナイフを持っている。
「じゃあ僕、部屋に戻るね。あの死体って誰かが片付けてくれるのかなあ」
呆然としていて、誰も言葉を発することができない。
操士くんはそんな僕たちを置いて、さっさと広間から出て行ってしまった。
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