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超能力編ー2日目・夕方(まもりと会話)
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☆数ページ更新しましたが、ページのタイトルを変えただけです。
部屋に戻ると、なんだか泣きたくなってきた。
処刑って、あんな風になっちゃうの?
日吉さんは本当に人狼だったのかな?
もし日吉さんが人狼じゃないのに処刑されたんだとしたら、テレパシーを使えなかった僕のせいなんじゃ…。
どうして工士くんに使っちゃったんだろう…。
「もしもーし!知真くん、いる?入っていい?」
突然ドアがノックされた。正直言って、誰かに会う気分じゃない。
「今はちょっと…」
「うーん、入るね!」
「えっ」
僕の返事には一切構わず、部屋にまもりちゃんが入ってきた。
「…どうしたの?僕に用?」
「うん!知真くんに相談したいことがあって」
まもりちゃんはにこっと笑って首をかしげた。
「まもりちゃん…なんだか元気だね。あんなことがあった後なのに」
そう言うと、まもりちゃんは少し表情を曇らせた。
「そうかもね。ごめんね!癖みたいなもんだから。それより聞いてよ。このゲームから抜け出す方法、考えてみたの」
「抜け出す方法…?」
今の状況に手いっぱいで、そんなこと考えようともしていなかった。
「このままじゃどんどん死人が増えてくよね。それを防ぐためには、ここから脱出しないと」
「でも、ここには出口がないんだよね?それに、建物を破壊するような能力は制限されてるみたいだし…」
「出口を出現させればいいんだよ!」
「出現…?」
「出口がないのは、洗脳・服従の能力を持ってる人がわたしたちに見えなくさせてるからってゲームマスターの人が言ってたよね」
「あ…そうだね」
1日目のゲームマスター登場時のことを思い出す。あのときはさらっと流してしまったけど、よく考えると恐ろしい能力だ。
「さっきの処刑で気づいたんだけど、その能力を持ってる人は、この建物の中にいるはずなんだよ」
「どうして?」
「だって、どこかでわたしたちの様子を見てないと、あんなふうに処刑をすることはできないもん。あんまり考えたくはないけど、わたしたちの中に、その能力を持っている人がいる可能性もある」
「…うん」
「だから、わたしたちでその人を探して、洗脳を解いてもらえばいいってわけだよ!」
まもりちゃんは得意げにそう言った。
たしかにこのゲームを成り立たせているその能力を解除してもらえば、僕たちは外に出ることができ、ゲームも終わる。
「それでね、知真くんにはテレパシーを使って、洗脳の能力を持ってる人を見つけてもらおうと思って!」
「あ、うん…いいけど…」
「わたしはわたしで、建物の中を探索して、外に出るヒントや、洗脳の能力を持ってる人を見つけてみるつもり!一緒に頑張ろうよ!」
まもりちゃんの目はキラキラと輝いている。
この子はどうしてこんなに前向きでいられるんだろう。僕たちのせいで、目の前で人が死んでしまったのに。そして次は、自分の番かもしれないのに。
「そんなに…上手くいくのかな。あっさり見つけられるとは思えないし、見つけられたからって、能力を解除してもらえるのかな…」
「ノンノン知真くん!考えるのは後だよ。とにかく今は、自分にできることをやるしかない!」
「うん…そうかもね。僕にできることをやってみるよ」
「じゃあ決まりだね!テレパシーを使ったとき、ちょっとでも怪しいなって人がいたら、2人で共有しよう」
「…あ、尚ちゃんにも話していい?尚ちゃんなら絶対、信用できるから」
「いいよー。じゃあわたしは、建物の探索に行ってきます!」
まもりちゃんは楽しそうに手を振って、部屋を出て行こうとした。
「…あ、待って!」
「ん?何?」
「まもりちゃんって、操士くんたちと幼なじみなんだよね?」
「そうだよ!」
「あの…操士くんって、前からあんな感じだったの?」
「うーん……」
まもりちゃんはドアを閉めて、僕の近くに寄った。
まもりちゃんと話しているうちに、どんどん違和感が強くなったのだ。こんな明るくていい子が、どうして操士くんたちと仲が良いんだろうと。
「操士くんが超能力を使えるようになったきっかけは、工士くんなんだよ」
「うん?何があったの?」
「小さい頃、わたしたち3人が一緒に遊んでたとき、工士くんが家のベランダから落ちたことがあるんだ。そのとき、操士くんが手を伸ばしたら、工士くんの体が空中でぴたっと止まって、ふわふわ浮きながらベランダまで戻ってきたの」
「それがサイコキネシスを初めて使ったとき?」
「うん。操士くんの超能力は、工士くんを助けるために生まれたってこと。そのあとなぜかすぐ工士くんも使えるようになって、わたしが特訓してパイロキネシスを使えるようになって、今に至るわけだけど」
特訓??
特訓すれば超能力って使えるようになるのか?
かなり気になったけど、まあまもりちゃんのことだしな、と思い直してつっこまないでおく。
「でも、操士くん、だんだんおかしくなっちゃって」
まもりちゃんは口をとがらせている。
「工士くんをいじめるようになったし、わたしにも意地悪なこと言うし。能力を使って事件もいっぱい起こしてた。ここに来てからは、誰かを殺したいとか言うし…本気なのかは知らないけど」
「そうなんだ…」
「操士くんが何を考えてるのか、わたしにはよくわかんないな。でも…操士くん、根は優しくて、工士くんのことも大事に思ってるんじゃないかなーって思うよ。昔のことを考えるとね。だからわたし、不思議と嫌いにはなれないんだ」
「そっか…」
でも、昔は昔だ。今の操士くんはとうてい兄弟思いには見えないし、優しいとも思えない。
まもりちゃんにはそんなこと言えないけど…。
「じゃあね!時間は限られてるもん。わたし、探してくる!」
まもりちゃんは今度こそ手を振って、部屋を出て行った。
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