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超能力編ー3日目・朝(広衣と会話)
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広衣さんの妄想が頭の中を支配して、なかなか寝付けないまま朝になってしまった。
部屋を出て振り向くと、昨日尚ちゃんの部屋のドアを覆っていたツタが、今度は僕の部屋のドアを覆っている。しばらく眺めていると、昨日と同じように萎んで消えてしまった。
どうやら植物の能力の人は、本当に僕のことを守ってくれたらしい。
これまでも、能力のせいで他人のしているエッチな妄想や欲望が見えてしまうことはあった。でもその妄想に僕が登場して、しかも尚ちゃんと…なんて…
だめだあ恥ずかしい!
「あら、知真くん。おはよう」
「ひいっ!」
話し合いに向かうため廊下を歩いていたら、広衣さんに声をかけられた。昨日のことなんて何事もなかったかのように…いや、広衣さんからしたら、何もなかったんだけど。
「知真くん、どうしたの?変な声出して」
「ぼっ、僕は変な声なんて出しません!」
「ええ?」
「あっ、いえ…なんでもないです」
「……」
広衣さんは怪訝そうに僕を見ている。
「あの…広衣さん…」
「どうしたの?さっきから様子がおかしいけど」
「その…ご、ごめんなさい!僕実は昨日、広衣さんに能力を使って…全部聞いちゃったんです」
「え……?」
広衣さんは絶句している。
「あんなこと聞いたなんて、普通なら絶対言わないんですけど、後の話し合いでみんなの前で言うことになるから、その前に広衣さんに話しておいた方がいいかなと…思って…」
広衣さんは手袋をはめた手をぎゅっと握りしめて僕を見た。
「…どこまで聞いたの?」
「どこまでって、だから…全部です。広衣さんが11時40分から12時まで考えてたあの妄想全部」
「そう…」
広衣さんは手の力をふっと抜いた。
「え、えっと…広衣さんは、そういうのが好きな方なんですか?」
「まあ、そうね。誰かが襲いにくるかもしれない不安な状況の中で、少しでも気持ちを落ち着けようと思って妄想していたの。まさか本人に聞かれてるとは思わなかったわ。ごめんなさい」
「なるほど…広衣さん冷静に見えるけどやっぱり怖かったんですね。…あ、そういえば、『あいつに狙われたらまずい』とか、考えてましたよね。誰のことを警戒していたんですか?」
「…えっ?わたし、そんなこと考えていたの?」
「はい。無意識でした?」
「ええ。さすがに自分が考えていたことを全部覚えてるわけないもの。…でも、警戒しているといえば、強矢くんかしら」
「強矢さんを?どうしてですか?」
僕がそう聞くと、広衣さんは頬に手を当てた。
「あら…あなたは気づいていないのね。なら、いいわ。このことは忘れて」
「えっ!どういうことですか?」
「気にしないで。強矢くんが人狼かどうかには、関係ないことだから」
「ええ?」
広衣さんはこれ以上、話してくれる気がないみたいだ。
強矢さんを警戒する理由…僕にはさっぱり思いつかない。
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