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超能力編ー3日目・夕方(風見とまもりと会話)
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夢を見ていた。
知らない出来事なのにどこか妙な現実感のある夢。
『わたし、知真くんのこと大好き!』
小さな女の子が僕に笑いかけている。
『ありがとう、あーちゃん』
『大人になったら、結婚しようね!』
『けっこん…?』
女の子の笑顔が徐々にぼやけていく。輪郭がわからなくなって、表情が見えなくなって、全て溶けて消えてしまった。
『ちょっともう…しつこい!』
『いいじゃん。どうせ寝てるしさ、あっちでしゃべろうよ』
『風見さんと話すことなんてないから!』
「ん…?」
いつのまにか、夢の中に現実の音が入りこんでいた。
目を覚ますと僕は自分の部屋にいて、外から誰かの話し声が聞こえる。
のそっと起き上がりドアを開けると、目の前に風見さんとまもりちゃんが立っていた。
「あ、知真くん!よかったー、目が覚めたんだね!」
僕を見てすぐまもりちゃんが飛びついてきた。
「おい、まもりちゃんから離れろ!…いや、いいか別に。お前ホモだし」
風見さんがなんだか失礼なことを言っている。僕は丁重にまもりちゃんを払いのけた。
「僕、倒れちゃってた?」
「うん。目の前に生首が出現したらねー、そりゃびっくりするよねー」
「尚ちゃんはどこ?」
「んー、どこだろう?この部屋に知真くんを運んだっきりどこかに行っちゃったな」
「そっか…」
心配かけてるよなあ。後で謝らなくちゃ。
「2人はここで何をしてたの?」
僕がそう聞くと、まもりちゃんはぶすっとした顔をした。
「知真くんの様子を見にきたのに風見さんに邪魔されてたとこー」
「ひどいな。楽しくおしゃべりしてたじゃん」
風見さんはにやにやしている。ずっと拒否されてるのになぜか楽しそうだ。
「風見さんはまもりちゃんのことが好きなの?」
「そうだよ」
「付き合いたいの?」
「まあな」
「まもりちゃんは風見さんのこと好き?」
「好きじゃないよ!」
「付き合うのは?」
「嫌だよ!」
「うん。じゃあだめだね、風見さん」
「わかってるわ、それくらい!」
風見さんにどつかれた。
「なんだ今の無意味な質問は」
「え?風見さんはまもりちゃんの気持ち知らないのかと思って…」
「お前心読めるならさー、もっと役に立つ情報教えてくれよ」
「と言うと…?」
「まもりちゃんのパンツの柄とか胸何カップかとか好きな男性器のサイズとか」
「ちょっと!最後のやつ何よ!」
まもりちゃんがほっぺを膨らませている。
「大丈夫。俺粗チンだけど、ボッキしたらでっかーくなるから。じゃあ知真さ、まもりちゃんの好きな男の名前教えてよ」
風見さんは腕を組み、僕の目を見た。
「わかりません。まもりちゃんの心、読んでないし」
「なんだ。普段から人の心が見えてるなら、そういうのも鋭いのかと思ってたけど」
「むしろみんなが何考えてるか全然わからなくて、不便だなぁって感じで…」
「へえ」
風見さんはまもりちゃんに向き直った。
「まもりちゃんはあの兄弟のどっちかのことが好きなんでしょ?」
あの兄弟…操士くんと工士くんのことだよなあ。
「な、なんで?」
「じゃなきゃあんなめんどくさそうなのと仲良くしないでしょ。あの2人なんかほっといて、俺と仲良くしようよ」
まもりちゃんはじりじりと後ずさりをしている。
「わたしたち、幼なじみだから。風見さんには関係ないし!」
まもりちゃんはくるっと振り返ると、走っていってしまった。
「あーあ。逃げられちゃった」
風見さんは唇を舐め、にやっと笑った。
「まもりちゃん、可愛いよね」
「はあ…」
「ま、お大事にな」
そう言って風見さんはさっさといなくなった。
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